コラム

バイデンの副大統領候補、黒人女性議員ハリスを軸に最終調整か?

2020年07月30日(木)15時30分

予備選では厳しく対立したバイデンとハリスだったが Lucas Jackson-REUTERS

<高齢のバイデンに代わって、大統領候補、大統領就任となる可能性もあるだけに、報道が過熱している>

民主党のバイデン候補による副大統領候補の発表が迫ってきました。以前に「8月1日」という日付が示されたことがありましたが、直近の報道では「8月第1週」という言い方になっています。いずれにしても、もうすぐです。

すでにアメリカ社会では共通認識になっていますが、今回の副大統領候補選びは、特別な意味があります。それはバイデン氏が77歳と高齢であることから、「いつでも大統領に昇格できる資質」が通常よりはるかに真剣に求められるからです。

具体的には、バイデン氏が仮に大統領に選出されても次回2024年には再選を狙わず、副大統領を候補にして民主党政権の継続を図る可能性が高いということがあります。さらには、任期中、いや選挙前でもバイデン氏に健康問題が出れば、即座に大統領候補もしくは大統領となる可能性が否定できません。

それに加えて、3月の予備選におけるテレビ討論で「副大統領候補は女性にする」という言質を取られ、その後一切取り消しをしなかったために既定路線となっています。さらに7月に入って、「4人の黒人女性が候補」という報道もされています。

一方でAP通信などが報じたところでは、バイデン選対として副大統領候補の最終選考に残しているのは6人で、それぞれに詳細な資料を提出したうえで、バイデン氏との面接も行われているという説明もありました。

報じられた6人の中には白人1人、ヒスパニック1人が入っており、その2人を除くとちょうど4人の黒人女性が浮かび上がります。

▼カマラ・ハリス上院議員(元カリフォルニア州司法長官、55歳)
▼スーザン・ライス氏(元安全保障担当補佐官、元国連大使、55歳)
▼バル・デミングス下院議員(元オーランド市警察署長、63歳)
▼ケイシャ・ランス・ボトムズ、アトランタ市長(元同市市会議員、50歳)

その他にも、ここへ来てカリフォルニア選出のカレン・バス下院議員(66歳)も浮上しているという報道もあり、事実上この5人の中から選ばれるというのが、多くの報道機関の一致した見方です。

<関連記事:トランプ姪の暴露本は予想外の面白さ──裸の王様を担ぎ上げ、甘い汁を吸う人たちの罪

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

男が焼身自殺か、トランプ氏公判のNY裁判所前

ワールド

IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解

ワールド

イスラエルがイランに攻撃か、規模限定的 イランは報

ビジネス

米中堅銀、年内の業績振るわず 利払い増が圧迫=アナ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story