コラム

2020年トランプ再選のシナリオが「政府閉鎖」で見えてきた?

2018年02月03日(土)14時00分

政府閉鎖を解消するためのつなぎ予算案の上院採決で、次期大統領選を目指しているとされる民主党上院議員たちはことごとく反対に回った。前回大統領選で民主党予備選を戦ったバーニー・サンダースや、エリザベス・ウォーレンもその中に含まれる。民主党リベラル派は、合意をまとめたチャールズ・シューマー上院院内総務が共和党の要求に屈したと、激しい怒りを抱いている。

与野党の合意成立後、トランプもシューマーの弱腰の交渉姿勢を揶揄した。ここに、大統領選で大盤狂わせを可能にした政治センスが見て取れる。

トランプが大統領選に勝つには、民主党支持層にくさびを打ち込み、多くの民主党支持者にヒラリー・クリントンへの嫌気を抱かせて投票意欲を失わせる以外になかった。トランプはその点を理解し、そのための行動を取り、勝利をつかんだ。早くも、20年に向けて同じ戦略を実践し始めたのかもしれない。

トランプ政権が誕生してから1年間、民主党は結束して政権に対峙してきたように見えた。しかし、今回の政府閉鎖は、民主党内に深い亀裂が残っていることを改めて浮き彫りにした。

トランプは、民主党の内部対立をあおる糸口を見つけたのかもしれない。秋の中間選挙は難しいとしても、20年にはそれが生きてくる可能性がある。

<本誌2018年2月6日号掲載>

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サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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