コラム

壁のために政府閉鎖を招いた、トランプに吹きつける逆風

2019年01月19日(土)13時40分

第4に、トランプの政策は一握りの国民の間では絶大な支持を得ているが、国民全体の支持は失いつつある。

さまざまな世論調査を平均すると、政府閉鎖に関してトランプの責任が最も重いと考える人は有権者の50%に達する。議会共和党の責任が最も重いと答えた5%と合わせると。55%が共和党に最大の責任があると考えている(議会民主党の責任が最も重いと答えた人は35%)。

第5に、最も重大な問題は、議会共和党内でトランプ支持に揺らぎが見え始めていることだ。共和党のウィル・ハード下院議員やリサ・マーカウスキー上院議員、パット・ロバーツ上院議員のように、トランプを批判する議員も出てきている。

政府閉鎖はトランプにダメージを与え始めている。国立公園や美術館の閉鎖が長引き、空港のセキュリティーチェックの行列が長くなり、税の還付が遅くなれば、国民のいら立ちは募り、その矛先はトランプに向けられるだろう。

<本誌2019年01月22日号掲載>

※2019年1月22日号(1月15日発売)は「2大レポート:遺伝子最前線」特集。クリスパーによる遺伝子編集はどこまで進んでいるのか、医学を変えるアフリカのゲノム解析とは何か。ほかにも、中国「デザイナーベビー」問題から、クリスパー開発者独占インタビュー、人間の身体能力や自閉症治療などゲノム研究の最新7事例まで――。病気を治し、超人を生む「神の技術」の最前線をレポートする。

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サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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