最新記事

ニュースデータ

生涯未婚率は職業によってこんなに違う

2015年9月1日(火)17時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

 生涯未婚率の職業差もさることながら、男女でその構造が異なっているのが興味深い。<図1>から察すると、女性の生涯未婚率は年収とプラスの相関関係にあり、男性はその逆になっているとみられる。年収と生涯未婚率はどのような関連にあるのだろうか。<図2>は、正社員男女の年収別の生涯未婚率を出し、折れ線グラフにしたものだ。

maita150901chart2.png

 男性では高収入層ほど生涯未婚率が低いが、女性は右上がりのグラフになっていて、年収が1000万を超えると未婚率が一気に4割にまで跳ね上がる。<図2>のグラフのXの字が先程の仮説を証明している。

 いざ結婚となれば、収入、学歴、職業といった現実的な条件が考慮されるのは当然のことだ。男性の場合、家族を養う経済力が求められるが、女性は反対に、あまり稼ぐと敬遠されるのかもしれない。

 女性の場合、「結婚している(夫の扶養下にある)から年収が低い」、「結婚していない(自立している)から年収が高い」という逆の因果関係も考えられる。しかし男性の場合は、収入の多寡が未婚率、つまり結婚できるかどうかに大きく関わっていると考えていいだろう。

「男は仕事、女は家庭」、「男性が一家を養うべし」という性別役割分業観は、昔に比べて薄れているといわれる。世論調査のデータでみても、そのような意識の変化は見てとれる。しかしこうした建前論は別として、統計データからは旧来のジェンダー観がいまだに根強いことが見えてくる。

(資料:総務省『就業構造基本調査(2012年)』

<筆者の舞田敏彦氏は武蔵野大学講師(教育学)。公式ブログは「データえっせい」

≪この筆者の記事一覧はこちら≫

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ISM非製造業総合指数、4月は49.4 1年4カ

ビジネス

米4月雇用17.5万人増、予想下回る 賃金伸び鈍化

ワールド

欧州委、中国EV3社に情報提供不十分と警告 反補助

ビジネス

米4月雇用17.5万人増、予想以上に鈍化 失業率3
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中