最新記事

旅行業界

JTBが民泊にも参入する「第3の創業」、モデル転換できるか

2017年9月29日(金)20時42分
松浦 大(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

JTBが民泊に参入する衝撃は大きい。同社は全国の旅館やホテルといった宿泊施設、約4000軒を組織化したJTB協定旅館ホテル連盟を抱えており、民泊は最大の競合相手といえる。

今回は合法な民泊のみを展開する百戦錬磨と提携し、自治体向けに提案する。「地方活性化というパッケージの中で、農泊やイベント民泊を提案していく。単品の民泊をやるつもりはない」(髙橋社長)。JTBのこの動きについて、JTB協定旅館ホテル連盟はコメントをしなかった。

toyokeizai170929-5.jpg

JTBが運営する海外向けサイト「JAPANICAN.com」には9月12日から、百戦錬磨が運営する民泊サイト「STAY JAPAN」へのリンクが貼られた(STAY JAPANのHPより引用)

JTBは組織再編後の2018年4~5月に新たな中期経営計画を公表する。その中で個人部門はOTAとどう向き合うのか、インバウンド関連をどう取り込むか、そして法人部門をどう伸ばしていくのかといった点への方針を示す。

ソリューション事業への転換については「現状は微々たる規模だが、2022年度までに一定の形を作る」「社員を削減することは一切ない。教育や自己研鑽の機会を設ける。困難だがやり遂げるしかない」(髙橋社長)とする。

そのために10月から国内15カ所を回り、店長などを対象にタウンミーティングを実施、直接社員に語りかける機会を作る計画だ。

ビジネスモデルの転換はできるのか

ただ、これまでの成功モデルを転換させるのは容易ではない。早急にOTA対策が必要な個人部門については「店舗やコールセンターなど多様なチャネルを持っているのが強み。ウェブは1つの武器として磨いていく」(髙橋社長)と言及するにとどまった。

あるJTBグループの中堅社員は「人員カットをするつもりではないのか。現場にいると、顧客の課題解決ができるようになるには数世代かかりそうだ。自分も含めてそんなのは無理」と嘆く。

はたして「第3の創業」という大転換を果たせるのか。来春、その全容が明らかになる。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
toyokeizai_logo200.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

韓国、不動産部門の再編加速へ 事業の収益性やリスク

ビジネス

暗号資産団体がPAC発足、米連邦議会選の候補支援 

ビジネス

米フォード、2027年にスペインで新型EVの生産開

ビジネス

中国、超長期特別国債1兆元を発行へ 景気支援へ17
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 5

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 6

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    アメリカでなぜか人気急上昇中のメーガン妃...「ネト…

  • 9

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 10

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中