最新記事

ビジネス

年会費や延滞手数料なしの「アップルカード」 ゴールドマン・サックス参加の狙いは?

2019年3月28日(木)12時36分

3月25日、アップルがサンフランシスコで開催した発表イベントでは独自のクレジットカードサービス、アップルカードが発表された。Stephen Lam - REUTERS

米ゴールドマン・サックスは米アップルと組んでクレジットカード「アップルカード」を発行すると発表し、一般消費者向け事業へとさらに一歩踏み込んだ。数十億人の「iPhone(アイフォーン)」利用者とつながれる可能性も秘めている。

しかし提携カードの市場は競争が激しく、小売業者が優位に立つことが多い。消費者向け事業を始めたばかりのゴールドマンがクレジットカードローンに手を広げるのを、株主がどこまで許容するかは疑問、との見方もある。

ゴールドマンは2016年、オンライン銀行「マーカス」を設立して以来、消費者向け事業に力を入れてきた。

アップルのウェブサイトによると、アップルカードは年間手数料や延滞手数料を設けず、金利は年13.24─24.24%と、顧客によってばらつきが生じる。

金融危機後の規制により、銀行にとってクレジットカード事業の妙味は増している。他の資産に比べ、引き当てを義務付けられる資本金が少ないからだ。

今回と似た提携に関わったある人物は「非常に緩い信用環境が続いているため、小売業者の立場が数年前に比べて強まっている」と説明。顧客審査はカードを発行する銀行が行うが、その際に小売業者が持つ顧客データを利用することが多いと話した。

ゴールドマンのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は25日の従業員向け電子メールで、アップルカードは消費者向け事業の拡大における「大きな一歩」だと述べた。

同行は、伝統的に得意としてきた債券トレーディングなどの収入が縮小しており、ソロモン氏はこれまで、消費者向け事業は増収・コスト削減計画の重要な部分だとしてきた。

しかしUBSのアナリスト、ブレナン・ホーケン氏によると、景気後退が近いとされる時期だけに、ゴールドマンが無担保の消費者向け与信事業を拡大することを、多くの投資家は不安視している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ロイターネクスト:為替介入はまれな状況でのみ容認=

ビジネス

ECB、適時かつ小幅な利下げ必要=イタリア中銀総裁

ビジネス

トヨタ、米インディアナ工場に14億ドル投資 EV生

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中