最新記事

ベンチャー

上場以来の最安値、ウーバーの経営が迷走する理由

UBER LOST ITS DIRECTION

2019年8月20日(火)18時40分
ウェスリー・ドカリー

ウーバーとリフト、投資するならどっち? SMITH COLLECTION-GADO/GETTY IMAGES

<上場して間もない配車大手のウーバーが早くも失速気味......迷える経営の実態は>

配車サービス大手ウーバーの株価が、8月15日に上場以来の下値を付けた。8日発表の第2四半期決算で52億ドルの赤字を計上したためで、株価は一時、32.92ドルまで落ち込んだ。

ウーバーは新規事業(ウーバーエアなど)の開拓に取り組んでいるが、アナリストや投資家は同社の事業モデルの収益性に懸念を示している。四半期決算の発表後に同社が新規雇用の凍結を決めたとの報道もある。

一方、ウーバーと競合するリフトは四半期決算で市場の予測を上回る収益を計上した。同社はウーバーと違って本業の配車サービスに特化し、市場も北米に限定している。

ただし両社とも、上場後の株価は低迷している。リフトは今年3月に72ドルの売り出し価格でIPO(新規株式公開)を実施したが、現在の株価は54ドル前後で推移している。今年5月に上場したウーバーは初日に、売り出し価格の45ドルを7.6%も下回る41.57ドルで取引を終えた。

いったいウーバーはどこへ向かおうとしているのか。創業者のトラビス・カラニックが2017年にセクハラ問題などで辞任したのは当然としても、今の経営陣は「成長第一」という創業理念を失っているとの批判もある。

逆に、飽くなき拡大路線が収益の足を引っ張っているとの見方もある。ウーバーは10年前にサンフランシスコで生まれたばかりだが、今は世界60カ国以上で事業を展開している。

<本誌2019年8月27日号掲載>

【参考記事】愛人とウーバー車に乗ったら運転手は夫だった! ウーバーで不倫は要注意
【参考記事】ウーバーはなぜシリコンバレー最悪の倒産になりかねないか

20190827issue_cover200.jpg
※8月27日号(8月20日発売)は、「香港の出口」特集。終わりの見えないデモと警察の「暴力」――「中国軍介入」以外の結末はないのか。香港版天安門事件となる可能性から、武力鎮圧となったらその後に起こること、習近平直属・武装警察部隊の正体まで。また、デモ隊は暴徒なのか英雄なのかを、デモ現場のルポから描きます。


20240423issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当

ビジネス

VWの米テネシー工場、組合結成を決定 南部で外資系

ワールド

北朝鮮が戦略巡航ミサイル、「超大型弾頭」試験 国営
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中