最新記事

世界経済

APEC、3年ぶりの首脳宣言採択 貿易自由化でコロナ禍の経済回復促進

2020年11月21日(土)12時32分

日本と米国、中国など21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が20日、バーチャル形式で開催され、3年ぶりに首脳宣言を採択した。写真はマレーシアで撮影(2020年 ロイター/Lim Huey Teng)

日本と米国、中国など21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が20日、バーチャル形式で開催され、3年ぶりに首脳宣言を採択した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって打撃を受けた世界経済の支援に向け、自由かつ予測可能な貿易を求め、保護主義的な貿易政策は行わないことで一致した。

首脳会議にはトランプ米大統領や中国の習近平国家主席のほか、日本からは菅義偉首相が参加した。

議長国マレーシアのムヒディン首相は会議後の会見で「(米中)貿易戦争の影響は、新型コロナのパンデミックによって打ち消されている」と指摘。「APECは市場と国境を開かれた状態に保つために、後戻りせず保護主義的な措置に頼らないことを確約した」と述べた。

首脳宣言によると、各国首脳は危機下での成長促進において、自由かつ公正で差別がなく透明性と予測可能性を備えた開かれた貿易・投資環境の重要性を確認した。

APEC首脳会議を巡っては、2018年には米中の貿易・投資を巡る対立の影響で合意に至らず、19年は議長国チリでの抗議デモのため中止されていた。

関係者によると、トランプ大統領は会議中に「議論を引き起こすような」発言をせず、主に国内問題や4年間の任期中の功績について語ったという。

米ホワイトハウスは声明で、トランプ大統領は「力強い経済回復を通したアジア太平洋地域の平和と繁栄の追求に向けた米国のコミットメントを改めて表明した」とし、トランプ大統領とAPEC首脳は、 向こう20年にわたり自由で公平な貿易を主な議題とする「APECプトラジャヤ・ビジョン2040」を承認したと述べた。

一方、習主席は自由で開かれた貿易・投資や多国間主義への支持を呼び掛けたほか、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」への署名を「前向きに検討する」とした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・中国共産党化する日本政治
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ


202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米金利先物、9月利下げ確率60%に小幅上昇 PCE

ビジネス

ドル34年ぶり157円台へ上昇、日銀の現状維持や米

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中