最新記事

コンプライアンス

米NPO、SP500企業の「環境面の人種差別」ランキング公表 株主提案で改革要求へ

2021年8月12日(木)12時06分
ニューヨークの金融街

株主提案を通じて企業に改善を求めることで定評のあるNPO「アズ・ユー・ソウ」は11日、企業を「環境面での人種差別」への関与度合いに応じてランク付けし、改革を迫っていくと表明した。写真は今月9日に撮影したニューヨークの金融街。(2021年 ロイター//Andrew Kelly)

株主提案を通じて企業に改善を求めることで定評のあるNPO「アズ・ユー・ソウ」は11日、企業を「環境面での人種差別」への関与度合いに応じてランク付けし、改革を迫っていくと表明した。

対象は米S&P500種総合株価指数の構成企業。事業活動が有色人種の地域社会に及ぼす環境面の影響についてのデータを収集、分析した上で、商品や環境規制違反、企業が支払った制裁金、企業として取った対応などを精査する手法だ。

同NPO幹部オリビア・ナイト氏はインタビューで、評価が最低の企業とは対話を開始し、来年の年次株主総会に株主提案を出すと述べた。同氏は「気候変動問題が有色人種の人々やそうした人々が暮らす世界各地の国々に不平等に影響を与えている」と指摘した。

米化学大手イーストマン・ケミカルを低い評価とした例では、子会社のルイジアナ工場周辺で住民のがん罹患リスクが高いことを理由とした。住民の大半は黒人で、1人当たりの年間所得は全米平均のほぼ半分にとどまっている。

最低評価を出した中には米自動車部品オライリー・オートモティブや鉄鋼大手ニューコアが含まれる。オライリーについては2015年以来、環境に関して支払った500万ドル超の制裁金を問題視。同NPOによると、オライリーはカリフォルニア州で有害廃棄物を不法投棄した。

ニューコアは2018年、黒人労働者をひどい環境で働かせたとして提訴され、2250万ドルで和解に応じたほか、大気や水質の規制にも違反した。

3社にコメントを要請したが、現時点で返答は得られていない。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・なぜ五輪選手が亡命を余儀なくされるのか ベラルーシ政治情勢まとめ
・東京五輪、中国人バド選手が韓国ペアとの試合中に「罵倒」連発で騒動に
・「無駄に性的」罰金覚悟でビキニ拒否のノルウェー女子ビーチハンド代表


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、核兵器を増強しつつ先制不使用協議を要求 米が

ワールド

ブラジル洪水の影響、数週間続く可能性 政府は支援金

ビジネス

ソロス・ファンド、第1四半期にNYCB株売却 GS

ワールド

AIとデータセンター関連の銅需要、年間20万トン増
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 5

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 9

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 10

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中