最新記事

コミュニケーション

「話し上手」になるために、まず見直すべきは「相手の話を聞く」姿勢と準備

2022年3月25日(金)11時52分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
話を聞く

fizkes-iStock

<話すために重要なのは、まず聞くこと。会話の瞬間に集中できていない人は意外と多い。「マインドマップ」を使って準備することも、場合によっては有効だ>

「話し方」をテーマにした本が続々とベストセラーになる昨今、「会話」に対して、これまでとは少し違った価値が求められるようになってきた。単に情報を伝達するための言葉のやり取りではなく、相互に心を通わせるようなコミュニケーションとしての「会話の技術」を得るには、どうすればよいのか。

韓国で、毎回作家をゲストに迎えてトークするポッドキャスト「チェキラウト──キム・ハナの側面突破」が人気のキム・ハナ氏は、互いに心地よく、良さを引き出し合うような化学反応にも似た会話を「良質な対話」と呼ぶ。彼女の最新刊『話すことを話す』(CCCメディアハウス)から、「良質な対話のために考えること」について書かれた部分を抜粋して紹介する。

【記事前半はこちら:誰とでも心地の良い「良質な会話」ができる、テクニックより大事な「意識」とは

■聞いて、その瞬間にいるということ

私は、一対一の対話の相手として出演した人が本領を発揮することができるように、適切な所で反応し、適切な質問を投げかけて、すばらしい二重奏が奏でられるようにしたいと考えている。そのために最も集中して行うのは「聞くこと」だ。

人は、私がポッドキャストの進行をしているというと、「話すこと」をしているのだと考える。でも、それは違う。話すためにはまず聞かなければならない。対話においては聞くのが八割で、話すのは二割だ。よく聞かなければ、うまく話すことはできない。よく聞くことで、微妙に上昇する対話のボルテージとリズムを感知することができ、それをより引き上げたり、引き下げたりすることができる。

そして、何よりも、よく聞かなければ「その瞬間」にいることはできない。エディター出身で、すばらしいインタビュアーでもある私の同居人ファン・ソヌが、いつかこんな話を聞かせてくれた。

テレビの特集番組で韓国人のインタビュアーが外国の著名人にインタビューするのを見たとき、そのインタビュアーは完璧な英語を駆使していたものの、自分の発音と質問リストに書かれた次の質問を投げかけるタイミングにばかり気を取られていて、インタビュイーの答えに注意を傾けていなかった。だから、会話の臨場感も面白みもまったく感じられなかったという。

私は、インタビュアーが「その瞬間」にいなかったのだと思う。英語の発音とか、「私がどう見えるか」という問題を忘れるほどその瞬間の会話に没頭していたら自然と相手の答えに反応していただろうし、相手の答えの中で気になる点についてさらに突っ込んで質問していただろう。「その瞬間」にいるということは、それほど集中しているということを意味する。

相手の質問に私が答えているのに、相手が上の空で聞いていると感じた経験は誰にもあると思うが、相手が私に集中していなければ、誰でもすぐにそれを感じ取ってしまうものだ。誰がそんな相手に私の大事なこと、つまり、本心をさらけ出すだろうか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、ミシュスチン氏を首相に再任命 下院

ビジネス

中国自動車輸出、4月は過去最高 国内販売は減少に減

ワールド

UNRWA本部、イスラエル住民の放火で閉鎖 事務局

ワールド

Xは豪州の法律無視できず、刃物事件動画訴訟で規制当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 2

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカネを取り戻せない」――水原一平の罪状認否を前に米大学教授が厳しい予測

  • 3

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加支援で供与の可能性

  • 4

    過去30年、乗客の荷物を1つも紛失したことがない奇跡…

  • 5

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 6

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 9

    「一番マシ」な政党だったはずが...一党長期政権支配…

  • 10

    「妻の行動で国民に心配かけたことを謝罪」 韓国ユン…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 7

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中