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個人事業主やフリーランスは廃業の危機!? 多くの団体が「インボイス制度の延期を」と訴える根本理由

2022年11月25日(金)17時20分
山田真哉(公認会計士・税理士・作家) *PRESIDENT Onlineからの転載

インボイス制度で消費税がさらに複雑に

しかも、インボイス制度によって、この仕組みがさらに複雑になります。

まず、事業主はインボイスの登録をして、13桁の登録番号をもらいます。

次に、1万円の仕事をして、消費税込み1万1000円をもらう時に、「インボイス」つまり登録番号と消費税率が記載された請求書を提出します。

また、仕事の経費についても、買い物をしたお店から「インボイス」をもらう必要があります。

図表2 2023年10月〜

筆者作成

このように、消費税を「インボイス」を基に計算することになる分、消費税の仕組みがより複雑になります。

財務省のねらいは「益税の廃止」

なぜわざわざこんな面倒なことをするのでしょうか。

理由は、「国にとってメリットが大きい」からです。

「インボイス」には税率が明記されるため、税率をごまかす不正を防止できます。

また、国は登録番号を使って、すべての取引を追跡することも可能になります。そのため、不正や脱税を減らす効果が期待できます。

もう一つの大きな理由が、「益税の廃絶」です。

年間売り上げが1000万円以下の事業者は、事務負担が大きいため、消費税を免除されています。

つまり、売り上げ1000万円以下の事業者は、1万円の仕事をして消費税を1000円もらうと、その1000円が収入になります。これが「益税」です。

図表3 消費税の免税点

筆者作成

もちろん、経費として消費税を払っているので、1000円まるごと儲けにはなりませんが、お得なのは間違いありません。

消費税が3%の時代、この益税はあまり問題視されていませんでした。しかし、消費税が10%になると、益税の額が多すぎると問題になったのです。

国は消費税を12%、15%、20%と、今後消費税をさらに上げていく予定です。益税が20%にもなると、かなり不公平感が出てくるわけです。

そのため、国はインボイス制度の導入によって、この益税をなくしたいと思っているのです。

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