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第二言語習得の研究から見た、「勘違いだらけ」日本の英語学習

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2017年9月25日(月)11時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ 広告制作チーム

paylessimages-iStock.

<日本人の英語がなかなか上達しないのは「個人の体験に基づく学習法や、根拠が薄いメソッドがあふれている」から――。ENGLISH COMPANYの岡健作氏が語る、日本の英語学習の問題点と、第二言語習得研究という科学に基づいた合理的学習法の利点>

ある日突然、海外との折衝が多い部署へ異動になった、社内会議の公用語が英語に切り替わった──。

今やビジネスの現場では、いつ高度な英語力を求められてもおかしくない時代。当然、世の中には英語学習教材があふれ、英会話スクールやオンライン講座も乱立している。

なのに、聞こえてくるのは道半ばで挫折した話ばかり。努力しているつもりなのに、なかなか結果につながらないのはなぜ......?

理由はいくつもある。英語は音韻体系から語彙、文法まで日本語とかけ離れた言語で、習得に膨大なエネルギーを要する。日常生活で英語を使う場面が少ない日本のような環境では、学習のモチベーションを保ちにくいという事情もある。

だがそれ以上に大きな問題は、科学的に見て効率の悪い方法が蔓延していること。その結果、多大な時間とお金を費やして遠回りをした挙句、諦めてしまう人がとても多い。

「自分はこのやり方でできるようになったという個人の体験に基づく学習法や、『科学的』と言いながら根拠が薄いメソッドが巷にあふれている」と、恵学社(本社・京都)の岡健作・代表取締役は語る。「間違いではないにせよ、第二言語習得研究の知見に照らし合わせると効率的とは言えないものが多い」

恵学社は、「第二言語習得研究」の成果に裏打ちされた「最短ルート」の学習法をマンツーマンで指南する英語のパーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY(以下、ENGLISH COMPANY)」を運営する教育ベンチャーだ。「一発ですべての問題を解決できる魔法のメソッドなどないが、効率よく学べる順序や方法はある。それを多くの人に知ってほしい」と、岡氏は言う。

【参考記事】英語にもパーソナルトレーナーを──言語習得の専門家チームによる英語ジム

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第二言語習得理論に基づいた英語のパーソナルジム「ENGLISH COMPANY」を運営する教育ベンチャー、恵学社の岡健作・代表取締役。恵学社は予備校の運営、教育系アプリの開発なども行っており、日本の学校教育、大学受験についても詳しい

第二言語習得研究とは何か?

第二言語習得研究? 聞き慣れない言葉かもしれないが、人間が母語以外の言葉を身に付ける仕組みやプロセスを脳科学や心理学、言語学などさまざまな視点から解き明かす学問のことで、多言語社会のヨーロッパやアメリカを中心に近年、急速に研究が進んでいる。

その成果を日本人の英語学習に応用すれば、多忙なビジネスパーソンの英語力を短期間で劇的に向上させられる──。そんな信念の元、ENGLISH COMPANYは科学的に合理的な英語学習法を追求。90日間の集中トレーニングで受講生のTOEICスコアを300点以上引き上げるなど、画期的な成果を挙げている。

科学とはしばしば、常識を覆す意外な発見をもたらしてくれるもの。第二言語習得研究の分野でも、直観的に正しいように思える学習法に潜む「勘違い」が続々と明らかになっている。

話せるようになりたいから話す練習を――の勘違い

岡氏によれば、勘違いの顕著な例が「英語を話せるようになりたいから話す練習をする」というアプローチだ。

外国語を学ぶ場合、最初から話したり書いたりというアウトプットができるわけではない。まず「聞く」「読む」という受け身の作業を通して大量のインプットをため込んだ状態が確保されていなければ、「話す」「書く」スキルを効率よく習得することはできないということが多くの研究で立証されている。

日本人学習者の大半は、このインプットが圧倒的に不足しているという。その状態で話す練習ばかり繰り返しても、暗記した決まり文句を言えるだけで、伝えたいことを臨機応変に言語化する力にはつながらない。

「言葉を話すとは、ため込んだ知識から適切なものを取り出して相手に渡す行為。知識の『引き出し』が空っぽに近い状態で取り出し方を練習しても、たいしたものは出せない」と、岡氏は言う。

インプット素材の選び方にも注意が必要だ。難しめの教材に食らいついていくほうが力が付きそうにも感じるが、むしろ大半は理解できるが、少しだけ理解できない部分が残る、くらいの難易度の英語に大量に触れるほうが効果的なことが分かっている。

もちろん、アウトプットの練習がまったく不要という意味ではない。ベストなのは、大量のインプットと並行して少量のアウトプット練習を行うこと。「これを言いたいのに言えない」というジレンマを経験することで、次にインプットを通して適切な表現に出くわしたときに「気づき」が起き、「自分の言葉」として習得が促されるからだ。

それでも、8〜9割はインプット活動に割くべきだと、岡氏は強調する。「ビジネスで使える知的な英語を身に付けたいなら、TOEICで800点前後に届くまではインプットを優先するほうが結局は近道だ」

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ENGLISH COMPANY ホームページ
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【参考記事】
英語にもパーソナルトレーナーを──言語習得の専門家チームによる英語ジム