最新記事

コミュニケーション

人がSNS中毒になる理由は「反応の遅さ」と「ギャンブル的要素」

2019年8月10日(土)11時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

愚痴や不満は学びのある内容に

また、愚痴や不満をネットでぶちまける行為は、多くの人がやりたくなります。あなたも実際にやった経験があるのではないでしょうか。しかし、暗い話を延々と書き綴ったところで、それは他の人が知りたい情報ではありません。もしそれでも愚痴りたいのであれば、周りの人の共感を呼んだり、何らかの気づきのある情報にする工夫が必要です。

たとえば、「ああ、今日も疲れた。外回りは疲れる......」というような愚痴では、フォロワーがそこから学べる内容は1つもありません。しかし、「久々に外回りをしたら、体力の衰えを実感。そんなに頭は疲れてないけど、一日歩き回って、腰が痛くなってきました。意識的にトレーニングしないと、体力って確実に落ちるんですね〜」であれば、トレーニングや体力について考えさせられる内容になり、学びや共感をある程度はもって受け取ってもらえます。

これは少し上級編ですが、グルメや筋トレなど一貫したジャンルで定期的に書き込み続けていると、多くの人が注目してくれるようになります。次第に専門家のようなイメージが定着し、あなたを頼りにする人も出てくるはずです。これがネット上であなたの居場所が構築されるということです。

しかし、投稿に義務感が生まれると疲れてしまいます。ですから、自分の実生活で起きたことを、他の人が学べるかたちで、気が向いたら投稿するということを続けてみましょう。すると、ゆるく反応してくれる人も現れ、そこにあなたの居場所を確保できるはずです。

この作法はネットだけではなく、リアルの場所でも同じです。会社であった嫌なことを家族に話す場合も、先ほど述べた「どう思いますか?」といった、『オファー(提案)』にする工夫をすると、聞く側も直球をぶつけられないので負担にならずに聞きやすくなります。

居場所に「依存」してはいけない

しかし、そうやってSNSに居場所ができると、SNS中毒の人が出てきてしまいます。その理由は単純で、1つにリアルで誰かと話しているときと違い、すぐに反応が返ってくるわけではないことと、2つ目は影響力の広がりという意味でギャンブル的要素があるからです。

前者についていえば、対面コミュニケーションでは自分が何か発言すると、一瞬で相手からのリアクションが返ってきます。すると、誰がどれだけリアクションを返してくれたかが一目瞭然です。

しかし、SNSでは投稿に対して、いつ誰からどのような反応が来るかは、まったく予測不能です。ですから、頻繁にSNSアカウントをチェックし、反応の有無を何度も確認してしまいます。しかも、そのときに必然的に他のアカウントが目に入り、「自分のSNSは反応が薄いのに、どうしてこの人のは?」と嫉妬し、その投稿が気になり、延々とチェックがやめられなくなってしまいます。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ECB、6月以降の数回利下げ予想は妥当=エストニア

ワールド

男が焼身自殺か、トランプ氏公判のNY裁判所前

ワールド

IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解

ワールド

イスラエルがイランに攻撃か、規模限定的 イランは報
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中