最新記事

プレゼンテーション

プレゼンは緊張したほうがいい、人前で話すのに恐怖を感じるのは当然だ

2019年10月10日(木)11時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Mikolette-iStock.

<欧米のプレゼンの名手たちも、緊張はする。自然なことだし、緊張はプラスに働きうるのだと、5000回以上のプレゼン経験を持つ米ノースウェスタン大学のティム・カルキンス教授は言う>

米ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院のティム・カルキンス教授が、専門のマーケティング戦略ではなく、プレゼンの本を書いてアメリカでベストセラーとなっている。優秀な教え子たちがプレゼンで失敗していることを憂いたのが執筆の動機だったという。

カルキンス教授が8歳で行った初めてのプレゼン「ニワトリをどう洗うか?」から始まる本書は、相手(聞き手)の見定め方からストーリー・構成、データの使い方、そもそもプレゼンをする必要があるのか否かということまで、プレゼンを成功させるためのコツを詳しく解説したもの。

「プレゼンに秘訣などない。必要なスキルはシンプルで、成功へのカギもはっきりしている。問題点は簡単に特定、修正ができる」と、5000回以上のプレゼンをこなしてきたカルキンス教授は言う。

その邦訳『ニワトリをどう洗うか? 実践・最強のプレゼンテーション理論』(CCCメディアハウス)から、ここでは自信をもってプレゼンする方法を抜粋する。

プレゼンに苦手意識を持つ理由として、「緊張」を挙げる人は多いかもしれない。だが心配はいらない。本書によれば「緊張したほうがいい」のだ。

※カルキンス少年の「ニワトリ」プレゼンについては、本書からの抜粋第1回:名門MBAケロッグの名物教授、初めてのプレゼンは「ニワトリの洗い方」だったを参照。

◇ ◇ ◇

ほとんどの人はプレゼンで緊張するが、実は緊張するべきなのだ。大勢の人の前に立つのは平然とできることではない。全員の視線があなたに向けられる。これでうまくできるのかとプレッシャーがかかる。「ほとんどの恐怖症と異なり、人前で話すのを恐れるのは至極当然のことだ」と、ルーシー・ケラウェイは言っている。

経営コンサルタントで講演家のスコット・バークンは、プレゼンで緊張を感じることは人間の性質と深い関係があると指摘している。

「私たちの脳は、隠れる場所がないオープンな空間で武器を持たず、たくさんの目が自分を見つめるなかで独り立つことに、恐怖を感じるようにできている」

私は20年間、ビジネススクールで講義をしている。合計で4000回以上、授業をしている。これだけ長い時間を教室で過ごしていながら、いまだに授業の前には緊張する。

まず、緊張するのは自然なことだとわきまえることだ。緊張しないでプレゼンをしようなどと思ってはいけない。広告代理店の経営トップであるキャリー・レムコウィッツは、「緊張するな!」と言うのは世界一ひどいアドバイスかもしれないと言っている。

「『緊張するな』などと言えば、相手を動揺させてしまう」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スパイ容疑で極右政党議員スタッフ逮捕 独検察 中国

ビジネス

3月過去最大の資金流入、中国本土から香港・マカオ 

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、4月速報値は51.4に急上昇 

ビジネス

景気判断「緩やかに回復」据え置き、自動車で記述追加
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 9

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中