最新記事

YouTube

過熱する韓国キッズ・ユーチューバー ベンツ運転からタコのつかみ食いまで

2019年8月21日(水)19時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

newsweek_20190821_185545.jpg

双子の女の子が巨大タコを丸かじりする動画(既に削除済み)のキャプチャー

ユーチューバーという職業は、まだそれがお金になることが認知されてから月日が浅く、倫理面などの整備がきちんとできていなのが実情だ。親は他のチャンネルに負けないように再生回数を稼ぐため、ビジュアル的に過激に走り、子供は再生回数が増えて喜ぶ親の姿を見て進んでカメラの前に立つ。その循環が次第にエスカレートすると、常識の一線を越えてしまう。

先日、韓国の6歳の双子の女の子が10キロを超える大きなタコを切り分けもせず、そのまま丸かじりする動画がYouTubeにアップされ、たちまち炎上した。フォロワー66万人を超えるこのチャンネルの父親は、動画を削除し謝罪文を公表したものの、ネット上では非難が集中している。確かに、小さな双子の女の子の前に大きなタコが置かれ、それを手づかみで食べる映像はあまりにも衝撃的だ。

YouTubeでは過激なほど再生回数やチャンネルの登録者が増え、広告収入が入ってお金になる。親は子供に演技やチャレンジをさせて、よりインパクトのある映像を公開し収入を得る。ボラムチャンネルのように、家族で株式会社を設立した例もあるが、これは稀だろう。制作しているのは大人だとはいえ、登場するのが子供の場合、稼いだお金の管理は一体どうなっているのだろうか。実はYouTubeが誕生したアメリカではすでに子供の稼いだお金については法律化されている。

去年、世界で最も稼いだユーチューバーのライアン君はたった8歳だ。動画の累計再生回数は260億回を超え、約2200万ドルの収入があったと言われている。幼い彼がこれだけの大金を手にしたのだから、気になるのはそのお金の管理だろう。実はアメリカには「クーガン法」という法律がある。これは、チャップリンの映画『キッド』に出演した子役のジャッキー・クーガンにちなんだものだ。

クーガンは、自分の出演料を両親が浪費してしまい、本人は無一文になってしまった事から訴訟を起こし、それがきっかけで1939年に法律が制定された。この法律では、未成年者が稼いだ出演料から養育費などを確保し、さらに出演料の15%を本人が成人するまで積み立てなければならない、と定めている。ライアン君が稼いだ大金も、330万ドルは親は手を付けることができず、彼が成人するまできちんと親とは別の口座で貯蓄されるのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

マスク氏が訪中、テスラ自動運転機能導入へ当局者と協

ワールド

ハマス代表団、停戦協議でカイロへ 米・イスラエル首

ワールド

バイデン氏「6歳児と戦っている」、大統領選巡りトラ

ワールド

焦点:認知症薬レカネマブ、米で普及進まず 医師に「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中