最新記事

K-POP

韓国、アイドルオーディション番組「PRODUCE 101」ヤラセ問題でK-POP離れ進むか

2019年11月13日(水)19時48分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

「監視法」制定を求める議員も

この世論の流れは、警察だけでなく政界も動かす勢いだ。国民の声を受け、パルンミレ党のハ・テギョン議員は6日「プロデュースX国民監視法」と呼ばれる放送法改正案の発議を発表した。これは売上額2000億ウォン以上の放送事業者に対し地上波放送局などと同様の視聴者委員会設置を義務づけるというものだ。

今までは視聴者は番組に問題を感じても、放送局内部の調査に頼るしかなかったが、第三者で構成された委員会が発足されれば、視聴者の声が届きやすく、さらに問題があるときには責任者に対する懲戒を要求することができる仕組みだという。発議したハ・テギョン議員はもともと問題発言が多い議員として有名であり、今回の議案もどこまで通るかは未知数だが、もしも一般視聴者などの第三者で構成された委員会ができれば、放送局の透明性確保のきっかけにはなるかもしれない。

問題の番組に参加したアイドルたちは?

今回の一番の被害者は、この番組によってデビューしたアイドルグループのメンバーだ。彼らにも、すでに大きな影響が出ている。シーズン3でデビューした日韓合同グループIZ*ONEは、11日リリース予定だったアルバムの発売延期と、そのプロモーションで出演が決まっていた全番組の放送が中止されている。問題はそれだけではない。たとえ今後活動を再開したとしても、人気と実力があるメンバーでも、「裏工作でのし上がった」というイメージが付きまとってしまうかもしれない。また、デビューを果たせなかった90人近くのアイドル練習生も、「もしかしたら本当の得票数では、自分がデビューメンバーに入っていたかもしれない」という気持ちがずっと残ってしまう。

K-POPアイドルはここ2、3年飽和状態だ。毎月のように似たようなコンセプトとルックスのグループがデビューをしている。そろそろ大衆もこの状況に限界を感じ、飽き始めているのかもしれない。事実、今年の夏以降、音楽配信サービスのランキングを見ていると、アイドルの曲ではなく、バラード曲がトップ10を占めるようになっている。アイドル王国だった韓国もそろそろ落ち着いたバラードを求める時期に来ているのかもしれない。今回の事件がきっかけに、韓国国内でさらにK-POPアイドル離れに拍車がかかる可能性もある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中