最新記事

エンターテインメント

韓国、Netflix急成長にタダ乗り議論で法改正 政府は韓国版Netflix育成を宣言

2020年7月4日(土)18時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

YouTubeプレミアム、中途解約に応じる

一方で、グローバルコンテンツ会社の中でも、Googleは韓国政府に従う意向を見せて注目を浴びている。

今年1月22日、韓国放送通信委員会は、YouTubeのプレミアム課金制度が電気通信事業法で定められた禁止行為を犯したとして、YouTubeの親会社であるGoogleに対して、8億6700万ウォンの課徴金納付と是正措置の公表、さらに業務処理手順の改善を求めていた。これは、YouTubeの有料サービス「プレミアム」の利用者に、途中解約について重要事項を告知しなかったことが理由だ。

今回も、訴訟に発展するのではないかとみられていたこの騒動だったが、先月25日Googleは、「電気通信事業法違反による是正措置移行計画書」を韓国放送通信委員会に提出した。これは事実上、Googleが韓国のルールに従うという姿勢を見せたというわけだ。

これにより、今後韓国ではYouTubeプレミアムの解約をすると、その時点で残りの期間の料金を日割りで払い戻すという世界初の対応に変更される。

この前例ができてしまうと、恐らく韓国政府は、ネットフリックスやAppleに対しても同様の対応を求めていくこととなり、コンテンツ事業社への網使用料金支払い問題(ネットフリックス法)とともに、海外からのグローバルプラットフォーマーにとって、韓国はひと筋縄ではいかないやっかいな国になる可能性があるだろう。

コンテンツだけでなくプラットフォームも世界へ

韓国がここまで素早い法改正に踏み切ったのには、次のような理由が含まれているようだ。
実は、韓国政府は、2022年までに世界で通用するグローバルなOTT会社を育成することを目標に掲げている。つまり韓国発のネットフリックスを作ろうというのだ。

それに先立って、OTT会社が国内で誕生しやすいように、「有料放送市場占有率の3分の1を超えてはならない」という規制をなくし、放送通信分野買収合併(M&A)手続きも簡素化した。これまで1年以上かかっていた引受・合併審査期間も大きな問題がなければ1年以内に完了するようになった。

さらに、これまで時間とお金を要していたセンサーシップ等級審議、いわゆるレーティング審査も、自律分類方式の自社審議となるため、OTT配信上映なら映画振興委員会による審議を通す必要がなくなり、より個性的な映画が多く誕生する見込みだ。今まで以上に規制にとらわれない多様なジャンルの韓国コンテンツが世界に発信されるようになるだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

神田財務官、介入有無コメントせず 過度な変動「看過

ワールド

タイ内閣改造、財務相に前証取会長 外相は辞任

ワールド

中国主席、仏・セルビア・ハンガリー訪問へ 5年ぶり

ビジネス

米エリオット、住友商事に数百億円規模の出資=BBG
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中