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「EVを売るだけではダメ」 日産が自動車メーカーでなくなる日

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2018年6月26日(火)12時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ 広告制作チーム

日産リーフの国内累計販売台数が10万台を突破したことを高らかにアナウンスするダニエレ・スキラッチ副社長

<2010年に世界初の量産EVとして発売された日産リーフが、日本で累計販売台数10万台を超えた。だが、これを記念したフォーラムで示されたのは、ガソリン車から電気自動車へという意気込みではなく、「ブルー・スイッチ」なるビジョンだった>

5月下旬、東京都内で「日産リーフ」の国内累計販売10万台突破を記念するフォーラムが開催された。2010年12月に世界初の量産EV(電気自動車)としてデビューした日産リーフが、7年強という期間で10万台に達した。これは素晴らしい成果と言っていいだろう。

けれども、フォーラムでの講演を聞くと、日産の狙いは単にEVを売ることだけではないことが分かってくる。大げさではなく、排出ガスを全く出さないクルマであるEVを活用することで、社会をより良くしようと考えているのだ。

「EVが社会を変える」と言われても、雲をつかむような話に聞こえるかもしれない。EVがどのように社会を変えるのか、フォーラムの模様から順を追ってお伝えしたい。

フォーラムの冒頭で壇上に立ったのは、日産自動車のダニエレ・スキラッチ副社長。スキラッチ氏は具体的な数字を挙げながら、日産リーフが歩んできた道のりを紹介した。

「日産リーフは日本国内では10万台、グローバルでは51の国や地域で32万5000台を販売しました。販売した車両の累計走行距離は40億キロにおよび、ここで得たたくさんのデータによってEV用バッテリーの性能は飛躍的に向上しています。1回の充電あたりの航続距離は200キロから280キロへと伸び、2017年に登場した第2世代の日産リーフでは400キロに達しました」

スキラッチ氏は、日本国内には7400基の急速充電器が設置され、平均すると26.5キロごとにひとつの急速充電器が存在する計算になると説明した。これは欧米をしのぐ水準で、バッテリー性能の向上と併せて電欠のおそれが非常に小さくなっているとのことだ。

「日産リーフに乗られた方は、次もEVの購入を希望されます。みなさん、二度とエンジン車には戻れないとおっしゃいます。Neverです」

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7400基もの急速充電池が設置された日本は、既に世界トップクラスの充電インフラ整備国となっている

ただし、とスキラッチ氏は続ける。

「大きなビジョンで言えば、EVを売ることだけが我々の目的ではありません。EVに蓄えた電気を家庭や職場で使うネットワークを構築することで、EVを中心としたより良い世界を築きたいと考えています。10万台はその始まりに過ぎません」

では、EVに蓄えた電気を使うネットワークが "より良い世界" にどうつながるのか? ここで一度フォーラムの会場から離れ、この取り組みの専門家に解説していただこう。

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日産自動車グローバルEV本部 EVオペレーション部 主担の林隆介氏。「VPPの具体化にあたっては、約50社の電力会社を訪ねました」

EVは仮想発電所にも、移動発電所にもなる

横浜にある日産自動車のグローバル本社に赴くと、グローバルEV本部の林隆介氏が出迎えてくれた。名刺には「EVオペレーション部 主担」と記されている。本人によれば、「EVを開発するのではなく、どうやってEVを活用するかを考えるのが私の仕事です」とのことだ。

早速、EVを中心にしたネットワークについての話をうかがう。林氏はまず、本年4月8日の正午に、九州電力管内では太陽光発電の出力が電力需要の約8割に達したという数字を挙げた。

「何百万という世帯にソーラーパネルが設置されたことで、今まで電力の消費者だった方が電気をつくる側になったわけです。社会は大きく変わりつつあります」

そして変わりつつある社会で、EVが大きな役割を果たすと林氏は言う。

「地球温暖化の問題を解決するにはCO2(二酸化炭素)の排出を減らす必要があり、それには九電管内のように再生可能エネルギーを増やさなければなりません。ただし、夜は太陽光発電が使えないし、曇りの日も効率ががくんと落ちる。そこで電力の需要と供給をバランスさせるために、昼間に発電した電力をバッテリーに蓄えて、それを夜に使うことが考えられます。とはいえ、バッテリーは高価だし、設置する場所も必要です。そこで、EVに蓄えてはどうかと考えました」

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