最新記事

健康

痩せていても「隠れ肥満」の人はどんなリスクがあるか

Beware of Skinny Fat

2018年8月8日(水)17時16分
カシュミラ・ガンダー

あるいは、仮に太っていても「代謝的に健康な肥満」かもしれず、「体重が重くない隠れ肥満の人たちより、慢性的な病気のリスクが低い人もいる」と、ツェンは言う。「痩せ型肥満と代謝的に健康な肥満の研究は目覚ましいほど進んでいる」

では、どういう人が隠れ肥満に当たるのか。どうすれば予防できるのか。MRI(磁気共鳴映像法)が最も有効な方法だと、ベルは言う。

だがMRI検査は費用がかさむし、医療機関も病気の疑いがない人には勧めないだろう。ウエスト回りの計測なら費用もかからず、MRIと同じくらい有効だと、トーマスは言う。

結局、内臓周辺の異所性脂肪を減らすには、当たり前のことではあるが、食生活に気を配り、できるだけ運動することが重要だ。「減量してはリバウンドする」を繰り返すと隠れ肥満になりやすいと、ベルは言う。

「余計な体脂肪をつけないためには運動を習慣にし、健康的な食生活をすること」と、ツェンは言う。アメリカ心臓病協会では、30分以上の中程度の有酸素運動を週に少なくとも5回行うことを勧めている。

体重や健康状態に気を付けていれば、認知症など脳の健康リスクを防ぐのにも役立つと、ベルは言う。科学者たちの考えでは、長時間の運動をたまにするより、短時間でも激しい運動を頻繁にするほうが有益だ。ジムで2時間の運動を週に1度ではなく、短時間でも週に3度、集中的に体を動かしたほうがいい。

「ダンス、スケート、何でもいい。ジムでバイクをこぐより、頭を使うスポーツがいい」と、ベルは言う。「なるべく階段を使い、可能なら徒歩で通勤しよう。目的地から遠い場所に車を止めて、あとは歩こう」

肝に銘じておくべきことは? 「健康より見た目が大事だと、誰もが思っている」と、ベルは指摘する。「60〜70代にならないと、重要なのは見た目ではないことが分からない。でも、本当に重要なのは健康だ」

[2018年8月 7日号掲載]

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国、月の裏側へ無人探査機 土壌など回収へ世界初の

ビジネス

ドル152円割れ、4月の米雇用統計が市場予想下回る

ビジネス

米4月雇用17.5万人増、予想以上に鈍化 失業率3

ビジネス

英サービスPMI4月改定値、約1年ぶり高水準 成長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中