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虐待

残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ17世の悲劇的な末路

2019年04月10日(水)18時15分
西川彩奈(フランス在住ジャーナリスト)

    マリー・アントワネットに抱かれるルイ17世

    <ベルサイユ宮殿の寵児として生まれたが、僅か10年で生涯を閉じたルイ17世――。「残忍な虐待」の犠牲者となったフランス王家の子どもの一生を、フランス人歴史学者が解説する>

    没後200年以上経った現在でも、ルイ16世と王妃マリー・アントワネットは、その豪華絢爛な生活様式とドラマチックな人生で、世界の人々を魅了し続ける。

    一方で彼らの息子、ルイ=シャルルことルイ17世の存在は、あまり世間に知られていない。それも彼が壮絶な「身体的虐待」、「ネグレクト」、「心理的虐待」の被害者だったことは――。

    現在も残る肖像画に描かれているルイ17世は、青い瞳、赤みがかった髪が印象的な可愛らしい子供だ。

    4歳でドーファン(王太子)となり、母から「愛のキャベツ」と呼ばれて可愛がられたが、幼児期に起こったフランス革命により、波乱に富んだ人生を送ることになる。そんなルイ17世の、たった10年の生涯とはどのようなものだったのか?

    歴史家でルイ17世の伝記『Louis XVII: La biographie』の著者フィリップ・デロルム氏と、『Heurs et malheurs de Louis XVII』の著者エレーヌ・ベクエ氏が「不運な王家の子どもの一生」の一生を紐解く。

    8歳で無理やり飲酒

    ルイ=シャルルは1785年、ルイ16世とマリー・アントワネットの次男として生まれた。マリー・アントワネットはルイ=シャルルに愛情を注ぎ、幼少期の彼は幸せな宮廷生活を送ったという。

    しかし、ルイ=シャルルが4歳の頃にフランス革命が勃発。生活苦を訴えるパリ市民がベルサイユ宮殿に押し掛ける「ベルサイユ行進」が起こり、国王一家はパリのテュイルリー宮殿に連れられ軟禁状態となった。

    その2年後、国王一家はパリを脱出しようとして捕まり、パリに引き戻された後はタンプル塔に幽閉される。

    当初、ルイ=シャルルは父から地理を教わり、遊んでもらうなど待遇は悪くなかった。しかしその後、ルイ16世がギロチンにかけられてしまう。さらに事態は悪化し、革命反対派などを次々と処刑する「恐怖政治」のもと、8歳のルイ=シャルルが「良き市民」になるために、アントワーヌ・シモンという靴屋の教育係を付けられる。

    「アントワーヌ・シモンはアルコール中毒で、無作法な男だった。すぐにルイ=シャルルに怒り、彼と両親を悪罵し、罰としてルイ=シャルルに暴力をふるった。母と父を罵る内容の革命歌を歌わせ、下品な言葉を教えた。また、マリー・アントワネットを処刑にもちこむために、『母に近親相姦された』と、ルイ=シャルルに証明をさせた。"普通の男"が、"王家の子供"に権力を持ったことで、支配欲にかられたのだろう」(ベクエ氏)

    「この"再教育"は、ルイ=シャルルの精神から貴族的な性質を取り除くためだった。ルイ=シャルルは革命党員の服を着せられ、食事の給仕や靴を運ばせるなどの雑用もさせられた。そのうえ、シモンはこの少年に飲酒させて酔わせ、娼婦と関係を持たせたという説もある」(デロルム氏)

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