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育児

寝かしつけの方法に「正解」はある? 赤ちゃんの睡眠の秘密を知ろう

2019年04月19日(金)12時00分
デボラ・ホジソン

    すぐ起きる 持続時間のとにかく短いわが子の睡眠リズムに親の生活はかき乱されがちだが  MONKEYBUSINESSIMAGES/ISTOCKPHOTO

    <ぐっすり眠っては頻繁に起きる赤ちゃんに親は振り回されるがリズムはだんだん安定していく>

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    すやすや眠る生まれたての赤ちゃんの姿は、まさに安らぎそのもの。長いまつげが柔らかい頰に影を落とし、その平穏は決して邪魔されることがない。

    いや、平穏を嫌というほどかき乱されているのは親のほうだ。赤ちゃんの生後6カ月までに、新米ママとパパは多大な睡眠時間を奪われる。

    生まれたばかりの赤ちゃんの睡眠は確かに深くぐっすりしたものかもしれないが、持続時間がとにかく短い。おかげで何度も起こされて睡眠不足の両親はイライラや疲労感、免疫の低下に悩まされ、時には鬱病のリスクまで抱えることになる。

    赤ちゃんの睡眠が(あるいは赤ちゃんが寝てくれないことが)親に与える影響は大きい。授乳やお世話や愛情を注ぐことなど、育児のあれこれが自然にこなせるか、あるいは徹底的な苦行になるのかは、睡眠にかかっているともいえる。

    新米の親が赤ちゃんの睡眠を気に病み過ぎるのも当然のこと。安眠グッズや指南本は世にあふれ、人々は正しい寝かしつけの方法をめぐり意見を戦わせる。

    だが結局、睡眠の特徴の多くは個々の文化的背景や赤ちゃんの気質で決まり、何が「正解」というものはないのだと、ノースウェスタン大学のスティーブン・シェルドン教授(小児科学・神経学)は言う。「赤ちゃんの睡眠習慣やパターンは学習して身に付けるというより徐々に調整されていくものだ」

    赤ちゃんにとって睡眠は、生理学的に必要不可欠。だから異なるさまざまな環境や状況下でも、赤ちゃんは同じくらい眠る。

    新生児の睡眠時間は長い。1日当たり18時間に上ることもあり、2~4時間ごとに目を覚ます。その後、睡眠時間は次第に減少。3カ月頃には数回の昼寝を含む15時間ほどになり、6カ月頃までには2回の昼寝を含む12時間ほどになる。

    赤ちゃんの体内時計が整い1日のリズムが作られ始めると、昼寝の時間は減って夜間に多く眠るようになってくる。1歳頃にはまだ12時間ほど眠るが、昼寝の時間はぐっと短くなる。

    重要なのは、個人差を受け入れることだ。「発達過程が異なるように、睡眠の安定性も個々で大きく違う」とシェルドンは言う。「6カ月で一晩中眠る子も正常だし、1歳を過ぎて一晩ぐっすり寝ない子も正常だ」

    生後3カ月頃までは、赤ちゃんは睡眠時間の半分を深い眠りであるノンレム睡眠に費やす。体を修復したり日中の疲れを回復させたりするのに欠かせない眠りだ。残りの半分が、夢を見る浅い眠りであるレム睡眠(早産児の場合は80%になる)で、記憶や脳内の神経回路を活性化するのに重要な働きをする。大人や年齢の大きい子供のレム睡眠は、睡眠時間の25%ほどだ。

    訓練や強制は適切でない

    深いレベルの睡眠とレム睡眠の両方をたっぷり取ることは、神経回路の接続を促すのに欠かせない。「神経回路がつながることで、体を動かす、思考するなどあらゆる行為が可能になる」と、ペンシルベニア州立大学のダグラス・テティ教授は言う。こうした脳の発達には多大なエネルギーが使われることも、乳幼児が大人より多くの睡眠を必要とする理由だ。

    おなかをすかせて何度も起きることで、0~3カ月の赤ちゃんは栄養や親との触れ合いを必要としている。だから、この時期に眠り方を「訓練」しようとしたり一人で寝付かせようと強制したりするのは適当でない。

    【参考記事】学ぶ力を伸ばすには? 赤ちゃんの脳は豊かな愛情があってこそ「学習脳」に発達する

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