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医療

有用なガイドラインは存在しない──ばい菌だらけの医師スマホと院内感染の関係

2019年05月13日(月)18時00分
メリッサ・ジェーン・キンゼー

    困ったことに、モバイル機器を衛生的に保つ方法を見つけるのがまた難しい。効果的で費用がかからず、使いやすく、機器にも人にも安全な方法でなければならないが、比較できるデータが少ない上、結果のばらつきが多過ぎる。

    分かっていることは、清潔なマイクロファイバーの布や70%のイソプロピルアルコールが染み込んだウエットティッシュ、またはアルコール系ではない普通のウエットティッシュでタッチスクリーンを拭くだけでも細菌数を大きく減らせるということだ。

    とはいえ病原体をほぼゼロにするには、過酸化水素のような消毒薬や紫外線を使った殺菌灯といったものが必要だ。トリクロサンなどを含む殺菌効果のある金属の開発も進んではいるが、放っておくだけで殺菌される素材で作られた携帯電話はいまだにSFの中の存在だ。

    殺菌灯は、紫外線を照射して好気性細菌の増殖能力を不活性化し、ほぼ根絶するという仕組みだ。「UV(紫外線)システ ムは非常に有効だ」と、医療機関向け殺菌灯を販売しているカナダのクリーンスレートUV社のテイラー・マンCEOは言う。「だが大きな限界があるのも事実だ」

    例えば、血液の汚れや画面のひび、ケースの面ファスナーの留め具といった、光を遮る物の陰に病原体が隠れてしまう可能性がある。1台につき4000〜1万ドル超という価格も、小規模な医療機関にはかなりの負担になるかもしれない。

    モバイル機器が原因の院内感染リスクを減らすには多面的なアプローチが必要だ。医療従事者を含む職員への研修や、来訪者や患者への啓蒙活動も大切だろう。手の清潔を保つための手順を明示し、何らかの形で監視する必要もある。モバイル機器を使っても安全なのはどんな場所や状況なのか、具体的に示すことも求められる。

    マッケンジー・リッチモンド・ヒル病院(カナダ)では、モバイル機器による院内感染の防止に熱心に取り組んでいる。 同院ではロビーの、しかもコーヒースタンドの近くにUV殺菌灯を設置した。そうすれば、職員も来訪者もコーヒーを待つ間に殺菌灯を使えるからだ。

    ©2019 The Slate Group

    [2019年2月 5日号掲載]

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