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音楽

英女性シンガーの性と不安──アップビートなサウンドに悲しい言葉を乗せて

2019年05月07日(火)18時35分
ケリー・ウィン

    デビュー当時と違ってプライバシーは気にしないと、ベインは言う JOSH BRASTEDーFILMMAGIC/GETTY IMAGES

    [2019年2月12日号掲載]

    <ソロプロジェクト「ザ・ジャパニーズ・ハウス」を展開する女性シンガー、アンバー・ベインが語る新作と性と不安について>

    イギリスの女性シンガー、アンバー・ベイン(23)は、インディー・シンセポップと魅惑のボーカルが売りのソロプロジェクト「ザ・ジャパニーズ・ハウス」(幼い頃に家族旅行で訪れた日本風家屋から名付けた)で音楽ファンにはおなじみだ。

    デビュー当時は謎に包まれた存在で、同じく気鋭のレーベル「ダーティー・ヒット」に所属する「ザ・1975」のサイド プロジェクト的な扱いだった。

    その彼女が今、スポットライトに素顔をさらそうとしている。大衆に愛されたい自分を認めることになるとしてもだ。「振り返ると自分で自分が恥ずかしくなる」と、ベインは言う。デビュー当初はステージに立つのが嫌だった。

    「あの頃の自分を揺さぶって『黙れ、あなたはすごくラッキーなんだ』って言いたい。当時はこう思ってた。『私は内向的。人前で演奏したくない。稼ぐことには興味がない。みんなに愛されたいとは思わない』」

    これまでに発表したEP4枚 は、彼女の世界にどっぷり浸れるものばかり。3月1日には初のフルアルバム『グッド・アット・フォーリング』もリリースされた。

    このアルバムには、心の病に向き合った経験から自省をテーマにした曲を集めた。アップビートなサウンドに悲しい歌詞を乗せた曲が並んでいる。曲を作る間に始まって終わった恋愛を語り、自身の人生を語る。

    全体を貫くのは、プライベートな体験だ。「健康不安に苦しんだ経験についての曲もある。パニック障害で死ぬんじゃないかと思った」と、ベインは語る。

    「私、強迫神経症なの。初めてパニック障害で発作が起きたときは何だか分からなくて、脳卒中かと思った。それから毒を盛られてるんじゃないかと被害妄想になって。飲み物をもらっても、中身は大丈夫かって疑ったり、缶を開けて置きっ放しにしたら飲めなかった。いまだに駄目かも」

    恋人の死を乗り越えて

    新作でのお気に入りの曲は「ソー・ユー・インナ・ドリーム」。4年前に死んだ初恋の相手を歌っている。

    「彼女の死のことは、ずっと曲にしなかった」と、ベインは言う。「どうアプローチしたらいいか、よく分からなくて。そうしたら彼女が夢に出てきたの。死んだ人のことを書くには完璧なタイミングだと思った。だから絶対アルバムに入れなきゃと感じた。ここまで完璧と思える曲を作ったのは初めて」

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