Newsweek

インタビュー

「幸せな結婚生活」の科学 研究者夫妻が導き出したシンプルな心的因子とは?

2019年05月20日(月)15時35分
今井順梨

    前野隆司・慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授と前野マドカ・同研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員 Newsweek Japan

    <幸せは1人でも実践できる、でもパートナーがいるほうがいい――。幸せには何が必要か。相対的な幸せと絶対的な幸せの違いは何か。幸せになれない相手=避けるべき人はいるのか。「ニコイチ幸福学」を提唱する前野夫妻に聞いた>

    どうしたら人は幸せになれるのか。「お金があれば」「家があれば」「結婚していたら」......。幸せを探していると大概、これらの「たら」「れば」に惑わされてしまい、自分から幸せのハードルを上げてしまう人が多い。

    しかし慶應義塾大学大学院教授の前野隆司さんは、幸せになるためには上のどれでもない、あるものが不可欠だと語る。

    前野隆司さんは東京工業大学工学部の修士課程修了後、キヤノンの生産技術研究所などを経て、2008年より慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授を、2011年からは同研究科委員長を務めている。システムデザインからイノベーション教育、幸福学を研究し、より良い世界を作ることを目指してきた。

    『ニコイチ幸福学――研究者夫妻がきわめた最善のパートナーシップ学』(CCCメディアハウス)は、そんな前野隆司さんと同大学院研究員で妻の前野マドカさんによる、パートナーシップについての指南書だ。ニコイチとは2つで1つ、つまり2人で1つということだが、「ニコイチこそが最小単位の人間関係」と語る隆司さんとマドカさんが考える、幸せになる方法とは――。

    幸せには「4つの心的因子」が不可欠

    隆司さんは約15年前、ロボットの研究をしていた頃に幸せについて考え始めるようになった。


    隆司さん:ロボットの技術を開発していた際、人が幸せになるロボットを作るにはどうしたらいいかと考えたんです。モノを作るなら、使う人が幸せになるものを作ることを考えるべきだと、この頃から思い始めました。


    マドカさん:私たちは(26年前に)結婚する前から、共に行動するなかで「(一緒に食事をして)おいしいね」とか、「(一緒に景色を見て)嬉しいね」というふうに、自分が幸せだと感じることを会話で自然に共有してきました。だからもともと私たちは幸せでした。でも、幸せの意識が変わったのは隆司さんがSDM で研究を始めた11年ぐらい前からですね。


    隆司さん:それでも、昔は今ほどは「幸せ」とか「一緒にいて嬉しい」とか言ってくれなかったよね?(笑)


    マドカさん:そうかな(笑)? 私は子供の頃から、自分はすごく幸せだと思いながら過ごしてきました。両親もケンカはしましたが基本的にとても仲が良くて。隆司さんと出会う前も幸せでしたし、出会って結婚してからも、1人よりも2人で「共有して得られる幸せ」が増して、私たちはずっと幸せにやってきました。

    意識が変わったのは、11年前に隆司さんが「人が幸せなるためには4つの心的因子が必要だけど、マドカはそれを全部持っているよね」と言ったことがきっかけです。以降、4つの因子について、意識するようになりました。

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