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カルチャー

ギター人気復活を導く「スーパークール」な和製ギター

2020年05月28日(木)21時10分
マルコム・ビース(ジャーナリスト)

    世界でコンサートを行うMIYAVIが愛用するのはフェンダーのテレキャスター(19年ロンドン公演) JOSEPH OKPAKOーWIREIMAGE/GETTY IMAGES

    [2020年5月26日号掲載]

    <アメリカのコピーから出発して独自のブランドを確立。アジア市場で熱い視線を浴びる日本のギター産業>

    思えば、2年前は最悪だった。「エレキギターの死」(米紙ワシントン・ポスト)、「ギターは終わりか。ギブソンの経営破綻で未来に暗雲」(英紙ガーディアン)、「悲しくも緩慢なギター産業の没落」(米誌フォーチュン)。そんな見出しが乱れ飛び、揚げ句に新興のオンライン誌バイスが「ロックは死んだ」と宣告していた。

    でも、どっこいロックもギターも死ななかった。今は2年前より元気なくらいだ。世の常として、もちろんギター業界にも浮き沈みはある。世界中で人気が爆発したのは20世紀の30年代と40年代だが、80年代以降は受難の日々。特にエレキギターとロックは、台頭するシンセサイザーとポップミュージックに押されるなど防戦一方だった。

    2008年の世界金融危機も痛かった。業界関係者によれば、売り上げは15%も落ち込んだ。それ以前は苦境と言っても1〜2%のマイナスで済んでいたのだから、比較にならないほどの打撃だ。しかし、その後の10年でギター産業は息を吹き返した。

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    フェンダーの日本製モデルはブランドとして確立(左からプレシジョンベース、ジャズマスター、ストラトキャスター、テレキャスター、ジャズベース)COURTESY OF FENDER

    とんでもない見立て違いだったと、今にして笑い飛ばすのは老舗楽器メーカーのフェンダー社(アメリカ)を率いるアンディ・ムーニーCEO。「市場は毎年拡大している。エレキギターは死んだなんて話、今じゃ犬も食わないぞ」

    調査会社リサーチ&マーケッツの報告書「エレキギター世界市場動向2019〜2024」によれば、19年に4億6000万ドルだった市場規模は毎年約3・5%のぺースで成長し、25年には5億4690万ドルに達する見込みだ。IBISワールドの調査でも、世界を引っ張るアメリカの市場は12年から17年にかけて、毎年1・4%の成長を記録していたという。

    コピーが本物をしのぐ

    さすがに今年は新型コロナウイルスの打撃を免れないだろうが、一部の産業ほど見通しが暗いわけではない。

    欧米でもアジアでも、ライブのコンサート人気の復活が需要を生み出してきた。ステージでギターを振り回すスターを見れば、自分もやってみたいと思う若者が増えるのは当然だろう。コロナ禍のせいで外出できない今も著名ミュージシャンはネット上で自慢の演奏を披露しているし、一般の人が自宅の屋上でギターを爪弾く動画も拡散している。それらを見てギターに恋する人もいるだろうと、業界は期待を寄せている。

    ギター人気復活のカギを握るのはアジア市場だ。08年の世界金融危機とその後に続いた不況期にもギターを忘れなかったのはアジア、とりわけ日本のファンだった。

    そもそも日本にはギター作りの伝統がある。1960年代にはアリアやテスコ、フジゲンといった会社が自前のギターを売り出していた。ただし日本の消費者はアメリカ製のギターに憧れていたから、国産メーカーはアメリカ製をコピーするしかなかった。

    しかし、82年に流れが変わった。フェンダーが製造拠点の一部を日本に移したからだ。米ミュージック・トレーズ誌のブライアン・マジェスキ編集長に言わせれば、既に当時の日本メーカーの「技術は途方もない水準」に達していた。

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