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読解力

自分で勉強する子どもに育てる方法とは?

2020年12月23日(水)17時10分
船津徹

写真はイメージ Hakase_/iStock

<教科学習の土台である読書力の低下が問題視されるのに、その教育について「ほぼ100%家庭教育に任されている」状態の一方、アメリカでは科学的な検証が進んでいます。子どもに読書力をつける「最高の方法」をご紹介しましょう>

子どもに「勉強しなさい」「宿題しなさい」「本を読みなさい」と毎日怒鳴るのは親にとっても子どもにとっても楽しいことではありません。親からガミガミ言われなくても「自分で勉強する子」に育てるには、何よりも、自分の力で学習を推進していく土台である「読書力」をつけてあげることが大切です。

読書量の減少が日本人の読解力を下げている

自分で勉強する子には「読書力」が身についています。活字に対する抵抗感がなく、教科書や問題集に集中して向き合い、書かれている内容を正確に読み解く力が育っています。だから人の助けを借りることなく、自学自習で学力を積み上げていくことができるのです。

「そんなのは当たり前だ」と思うかもしれません。しかし2019年に経済開発協力機構(OECD)が行った国際学習到達度調査(PISA)によって、日本の子どもの「読解力」は15位と、前回調査時の8位から大幅に下がっていることが分かっています。

なぜ日本の子どもの読解力が下がっているのか?その一因として「初歩の読書教育の欠如」があるのではないかと私は考えています。

学研総合教育研究所が2019年に小学生とその保護者1200組を対象に実施した調査によると、小学生の1ヶ月の読書量は平均で3.1冊と、30年前の調査時(平均9.1冊)に比べて約3分の1に激減していることが分かりました。

読書量が少ないと、語彙力が増えず、読書スピードが向上せず、読解力が発達しません。がんばって本や教科書を読んでも内容理解が伴わないのですから、子どもが勉強嫌いになっていくのは当然です。

学校の勉強のほとんどは教科書に書かれている「活字を正確に読み解くこと」で成立しています。教科学習の土台である読書力が満足に育っていないまま学年が上がり、学習の難易度が高まると、子どもは勉強についていけなくなります。いわゆる「小4の壁」「9歳の壁」にぶつかるのです。

学研総合教育研究所の調査でも、学年が上がるにつれて読書冊数は減少傾向にあり、小学3年生になると1か月に1冊も「読まない」子どもが4人に1人になることが分かっています。ちなみに30年前の調査では小学3年生以上の読書量が多く「月平均10冊以上」の本を読んでいました。

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