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日本のTOEFL iBT平均スコアは73......韓国・中国より10以上も低い理由

2022年08月18日(木)12時30分
船津徹

英語下手だった韓国の英語力が向上した理由

韓国は1997年から英語教育改革に着手し、英語教育の目標を「高く」しました。英語教育のスタートが早期化し(小学1年生から)、英語の学習時間が増え、英語の学習内容が高度化し、英語ができる生徒が増えました。20年前は日本と同じ英語下手で知られていた韓国ですが、今ではアジアでも香港に匹敵するほど「英語が得意な国」に生まれ変わっています。

韓国の「中学英語教科書」は日本の教科書の「3倍以上」のボリュームがあります。(言い換えると1年間で日本人の3年分学習していること)収録されている英文も(文法ベースの不自然な英語でなく)ネイティブ向けに書かれた本やテキストからの抜粋が中心で、実践的な作りになっています。

授業の多くは英語ネイティブの先生が英語オンリーで行い、授業内容はテキストや本の音読、英語で質問に答える練習、英語でのディスカッション、英文メールの書き方、エッセイライティング(英作文)など、ハイレベルで実用的な指導が行われています。

小、中、高の英語教育レベルが高くなったことで、大学受験で求められる英語の難易度も上がりました。世界一過酷と言われる韓国の大学受験で勝ち抜くために、子どもたちは英語に多くの時間と労力を割くようになり、英語力が一気に向上したわけです。

英語力の底上げに成功しているのは韓国だけではありません。台湾や中国も英語教育改革を行い、カリキュラムの難易度をCEFR B2レベルに上げることで、英語力を急速に伸ばしてきています。

同じアジアの国民ができるのですから、日本人にできないはずがありません。私はアメリカで英語学校を経営し、アジア諸国の子どもたちを指導していますから断言できますが、目標設定を高めることで、日本人も確実に高いレベルの英語力を身につけることができます。

どうしたらCEFR B2を達成できるのか?

日本では2020年から英語教育改革が実行され、英語カリキュラム全体が前倒し(従来の中学1年生の内容を小学5年生で学ぶイメージ)されました。これに伴い英語教育の目標もやや上がりましたが、それでもCEFR A2〜B1レベルです。

また改革の重点が「コミュニケーション(英会話)」に置かれすぎており、会話力以外の技能の向上につながらないことが危惧されます。

会話力を鍛えることは大切ですが、日常的に英語を使うことがない日本で会話中心の英語指導は、一時的に学習者のモチベーションを向上させる効果はあっても継続性がなく、技能の定着という面では現実的ではありません。

私は30年以上英語教育に関わっていますが、中国人や韓国人などに比べて日本人は控えめな人が多く、間違いを恐れず積極的に英語を話したり、活発な議論を通して英語力を身につけるというメソッドは合わないと感じています。(もちろん個々の性格によりますが)

それよりも、自分の好きな作家の英語の本(原書)や自分が興味を持っている分野のウェブサイトや英語ブログなど「生きた英語を読む訓練」を取り入れることで、はるかに効果的に英語力全体を伸ばしていくことができます。

作家の村上春樹さんは、英文学の翻訳をしたり、英語で講演するほど高度な英語力を身につけていますが、学生時代は英語が得意ではなかったそうです。高校時代から自分の好きな洋書を読み漁ることで、ごく自然に高度な英語力を獲得できたと言います。

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