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中国全土で共感を得られる広告を作るには?

2016年7月13日(水)18時38分
マニーシュ・チョードリー、ジェニー・マー ※編集・企画:情報工場

 このCMのどこに問題があったのだろうか。どうしても買わなくてはいけないと思わせるものを訴えきれなかったのか。消費者に働きかける方法がかえってイラつかせるものだったのか。ただ単にCMに共感できなかったのか。そうした受け手の失望を避けるために、心に留めておくべき基本をお教えしよう。以下を参考にすれば、効果的で無駄のない広告を創造できるはずだ。

中国全土で共感を得るための3要素

 中国は複雑な国だ。私たちのもつ広告データベースによる分析では、全国的に成功する広告は二つに一つしかない。また、中国では、多種多様な広告の手法を使わざるを得ない。国内に存在する文化の多様性や、経済発展の段階の違い、広告主のステータス(大企業か中小か、よく知られたブランドか否かなど)、広告の表現に慣れているかどうかなどを勘案して広告を制作する必要があるからだ。

 たとえば中国東部の消費者は、よりクリエイティブで洗練され、加えて前向きな気持ちを喚起するような雰囲気の広告を好む。広告に心情的な温かみ(家族の絆やナショナリズム、楽天的な考えなど)があれば、北部の人々の受けが良いだろう。一方、南部には実用主義的なカルチャーが行き渡っている。したがって、当然ながらシンプルで真っ直ぐなメッセージがその地域の消費者には合っている。下層階級の人々が多く住む都市では、エンターテインメントではなくプレーンな情報を与えること、「なぜこの商品を買わなければならないのか」を強く打ち出すことなどが重要になる。

 これらの事情に合わせて多種多様な広告を制作するために、十分な予算とスケジュールが与えられることは稀だ。しかし予算と時間の範囲内で実施する方法はある。私たちの研究によれば、「家族の価値」「楽観的な明るさ」「子どもに関係するもの」を普遍的に表現できれば、中国全土で共感を得られる可能性が高い。これらのテーマを踏まえることが、全国に行き渡らせる広告を制作する上での前提条件になるだろう。その上で、いかに地域ごとに異なる「ものの見方」を反映させ、受け手の得になるものを打ち出し、彼らが見たことがない斬新な表現ができるかが勝負になる。

【参考記事】中国企業のイノベーション志向を探る

「CMは30秒」はもう当たり前じゃない

 中国の視聴者は、テレビCMとネット上の動画を別物と捉えているようだ。求めるものが違うし、反応も異なる。彼らにとってテレビは退屈しのぎに刺激を得るために見るもの。それに対し、ネット上の動画ははっきりとした目的があって視聴することが多い。つまり、特定の情報を得ようと積極的にアクセスしているのだ。それゆえ、ネット上の動画で広告を流す際には、自らのイマジネーションにフィットしないものを辛抱強く見続ける視聴者などほとんどいないことを、肝に銘じる必要があるだろう。

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