最新記事

映画プロデューサー

エディ・レッドメインは「力のある俳優」

2016年12月2日(金)17時00分
大橋 希(本誌記者)

beasts161202-02.jpg

「エディ・レッドメインはとても英国的で、どんな役柄でも人間味を出せる俳優」とヘイマンは言う © 2016 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED. HARRY POTTER AND FANTASTIC BEASTS PUBLISHING RIGHTS © JKR

――シリーズ第1冊目の『ハリー・ポッターと賢者の石』の出版から約20年。初めて読んだときの感触を覚えているか。

 昨日のことのように覚えている。まだ出版されていない段階のものを読んだ。3人しかいない小さな私のオフィス(映画製作会社)では、映画化できそうな本を優先度が「高」「中」「低」の順に積んであって、『ハリー・ポッターと賢者の石』はそのいちばん低いところにあった。

 私の秘書が週末に家に持ち帰り、月曜朝に「何かいいものを読んだか」という話になったとき、「この本を読んだ」と。作品名を聞いたら、『ハリー・ポッターと賢者の石』と言うので、「ひどいタイトルだね」と私は返した。でも少年が魔法学校に通う話と聞いて、ちょっと興味を持ったから自宅に持って帰った。ページを開くと、読み終わるまで閉じることができなかったよ。恋に落ちたみたいだった。

 私が子供の頃に読んだ本を思わせるけど、同時にすごく新鮮だった。登場人物たちに会ったことがある気がしたし、魔法学校ではないけどホグワーツみたいな学校に自分も通っていた。これは私の話だって思った。ただしそのとき考えていたのは、小規模なイギリス映画になるかな、ということ。20年後に日本に来て、9作目の映画の話をするようになるとは思いもしなかった。

【参考記事】『ファンタスティック・ビースト』で始まる新たな魔法の冒険

――ニュートは世界中を旅しているが、これからの『ファンタスティック・ビースト』作品で日本が舞台になる可能性はあるだろうか。

 日本といえば、実は今回の作品に河童が出てくるという構想はあった(『幻の動物とその生息地』の本には掲載されている)。物語は第2次大戦くらいまで続くけど、パリの次の舞台がどこになるかは私にも分からない。

――エディのニュート役についてはどう?

 私たちが彼を主演に選んだのは、すごく英国的な人だから。時代を選ばない、つまり2016年でも1926年でも違和感のない俳優であるのもいい。アウトサイダーを演じられるし、どんな役柄でもきちんと人間味を出せる。

 ちょっとぎこちないけど、温かい心の持ち主であるニュートを演じるにはエディみたない人でないと。力のある俳優は、難しい演技を軽々とやってみせる。あまり簡単にやってしまうから、エディがどれほどのことをしたのか、あまり分からないかもしれないが。

 ニュートは型破りのヒーロー。強いヒーローではないが、でも私たちは大好きになってしまう。そんな人物をジョーが書いたのはすごく勇敢なことだったし、エディも思い切って演技してくれた。監督はエディのシルエットが好きだと言っている。ちょっとバスター・キートンのようなところがある。チャプリンみたいな歩き方とか、当時のサイレント映画の俳優のような雰囲気がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米EV税控除、一部重要鉱物要件の導入2年延期

ワールド

S&P、トルコの格付け「B+」に引き上げ 政策の連

ビジネス

ドットチャート改善必要、市場との対話に不十分=シカ

ビジネス

NY連銀総裁、2%物価目標「極めて重要」 サマーズ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前の適切な習慣」とは?

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中