最新記事

日中関係

中国、森友学園問題をトップニュース扱い!

2017年3月21日(火)06時00分
遠藤 誉(東京福祉大学国際交流センター長)

塚本幼稚園の背後には日本の極右団体・日本会議があり、この幼稚園では、教育勅語を園児に暗唱させたり、中国や韓国を敵視したりするなどの教育が行われている。教育勅語は日本の軍国主義の精神的核心になったものだ。日本会議の核心には安倍首相や稲田防衛大臣などがいる。

安倍首相は森友学園事件が起こった初期のころは、この幼稚園の教育方針を礼賛していた。しかし途中から自分は森友学園とは関係がないと言い始め、関係があるなら辞任すると国会で断言している。

稲田防衛大臣も初期のころ、自分は森友学園とはいかなる関係もないと言っていたが、のちに森友学園の顧問弁護士をしていたことが明るみになり、国会で謝罪している。

この事件の背景には土地の格安購入に関するスキャンダルがある。

23日には籠池氏の証人喚問があるが、安倍政権は今、危機に追い込まれている。
おおむね、このような内容だ。

なお、「(森友学園と)関係があるなら辞任する」と安倍首相が言ったのは、直接的にはあくまでも「この土地購入に関して便宜を図っていたなら」という流れだったが、CCTVの報道では、その部分は省略されている。

人民日報や新華社のウェブサイトも

中国共産党の機関紙「人民日報の電子版「人民網」は、「安倍の"森友災難":"地価ゲート"が収まってないのに、"献金ゲート"がまた起きた」というタイトルで、CCTVのニュース番組を転載している。「ゲート」というのは「ウォーターゲート事件」以来、政府を揺るがすような大きな事件に対して付ける「事件名」である。

また同じく「人民網」は稲田防衛大臣に焦点を当てて、森友学園問題を報道したCCTVの番組を転載している。

中国政府の通信社である新華通信の電子版「新華網」は「"地価ゲート"のあとに今度は"献金ゲート"が来て、日本の首相は"森友災難"に直面している」というタイトルで独自の見解を報道。

先般閉幕した全人代(全国人民代表大会)とほぼ並行して開催されるために「両会」と呼ばれている人民政治協商会議のウェブサイト「人民政協網」も、「安倍、右翼学校スキャンダルに巻き込まれる」というタイトルで、新華網の報道を転載している。

朝鮮半島問題より森友学園問題が面白い――中国ネットユーザー

党や政府ばかりではない。

その他、民間のウェブサイトもCCTVのニュース番組を転載するなど、中国のネット空間は、森友学園問題で燃え上がっている。

最大手の検索サイトのトップページには3月20日、「バカップル昭恵&晋三」「日本私物化・絶賛進行中」などのプラカードを掲げた日本国民の抗議活動の写真度が貼り付けてある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中