最新記事

仏大統領選

フランス大統領選の有力候補マクロン、改革実行には圧勝必須

2017年4月24日(月)16時22分

4月23日、フランス大統領選の第1回投票で、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン前経済相は2週間後の決選投票への進出を決めた。しかし、大統領として改革を実行するためには決選投票を大差で制し、6月の国民議会(下院)選挙に向けた基盤を固めることが重要になる。写真は決選投票への進出を祝うマクロン前経済相。パリで23日撮影(2017年 ロイター/Benoit Tessier)

23日に実施されたフランス大統領選の第1回投票で、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン前経済相は2週間後の決選投票への進出を決めた。しかし、大統領として改革を実行するためには決選投票を大差で制し、6月の国民議会(下院)選挙に向けた基盤を固めることが重要になる。

第1回投票の開票がほぼ終了した時点でマクロン氏は得票率24%。22%を獲得した極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首を上回った。

世論調査によると、決選投票ではマクロン氏がルペン氏に圧勝する見込みとなっており、マクロン氏の決選投票進出が欧州各国政府や金融市場に安ど感をもたらすのは確実とみられる。

しかし、マクロン氏が選挙後に政治・経済改革を実行するチャンスを得るためには、決選投票で大きな勝利を収め、6月の国民議会選で主要政党から知名度の高い議員の協力を得る必要がある。

選挙で公職に就いた経験がなく、政治運動「前進」を昨年立ち上げたばかりのマクロン氏にとって、23日の結果は大きな勝利だったかもしれない。しかし、仏大統領選第1回投票の得票率としては2002年の選挙以来の低さだ。

2002年の選挙でジャック・シラク氏は第1回投票の得票率がわずか20%にとどまったが、決選投票ではマリーヌ・ルペン氏の父親でFNを創設したジャンマリ・ルペン氏の勝利を阻止するため全ての主要政党が協力したことが奏功し、シラク氏が82%の票を獲得して圧勝した。

今回も、保守派と社会党は早くも支持者にルペン氏の勝利を阻止するよう呼びかけた。

ただ、2002年の選挙と異なるのは、今回は保守派と社会党の支持を合わせても26%の票にしかならない点だ。

アナリストは、決選投票でマクロン氏の得票率が60%を割り込めば、分断されたフランス社会に対して経済改革を実行できると確信させることは難しいと指摘する。

そうなった場合、6週間後の6月に控える国民議会選で「前進」が過半数を獲得することは困難になる可能性がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 3

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの過激衣装にネット騒然

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 6

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 7

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 8

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 9

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 10

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中