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トランプ、抗議デモ避けてイギリスに「密入国」?

2017年7月4日(火)16時27分
ジョシュ・ロウ

英国会議事堂の外で「トランプに抵抗せよ」と叫ぶデモ隊(2月) Stefan Wermuth-REUTERS

アメリカのドナルド・トランプ大統領がお忍びでイギリスを訪問する計画を立てているという憶測の中、イギリスのトランプ訪英反対運動にはますます力がこもっている。

左派の時事評論家で活動家のオーウェン・ジョーンズは、「ドナルド・トランプは、デモを回避するためにこっそりイギリスに入国しようとしている」とツイートした。「あの差別主義者が前触れもなくイギリスに来ることに反対したい人はリツイートしてほしい」

ジョーンズのこの投稿は1万8000回リツイートされ、2万4000件の「いいね」を集めた。

(トランプは、抗議デモを避けるためにお忍びでイギリスに入国しようとしている。あの差別主義者が前触れもなくイギリスに来ることに反対したい人はリツイートしてほしい)


ロンドンの日刊紙タイムズの報道によれば、トランプの日程には空白がある。7月7日から8日の週末は、ドイツのハンブルクで開催されるG20サミットに出席し、7月14日(フランス共和国の成立を祝う記念日「パリ祭」)にはフランスを訪問する予定だが、その間の予定がわからないのだ。

同紙はまた、イギリスおよびスコットランドの両政府は、トランプが自分が所有するスコットランドのゴルフ場に「立ち寄る」可能性があるとして厳戒態勢に入っていると伝えている。

【参考記事】トランプのイギリス訪問で何が起こる?

一方ホワイトハウスは、トランプがイギリスをサプライズ訪問する予定はないとして報道を否定していると、英デイリー・テレグラフ紙は報じた。

国民の7割が反トランプ

トランプ政権のイスラム差別的な入国禁止令などに抗議する一部のイギリス人は以前から、トランプが放映することがあれば騒ぎを起こす、と警告してきた。トランプもこれまでイギリス公式訪問を避けてきており、歓迎されない限り訪英はしないだろうと言われていた。

【参考記事】トランプ「異例の招待」に英国民猛反発でエリザベス女王の戸惑い

ソーシャルメディアの雰囲気からすれば、トランプ訪英のタイミングはまだ訪れていない。

トランプ訪英に反対している左派や活動家グループの集合体「Stop Trump Coalition」は、「準備はできているぞ、トランプ」とツイートした。「イギリスにこっそり来ようとしても無駄だ!」

(ストップ・トランプ:準備はできているぞ、トランプ。イギリスにこっそり来ようとしても無駄だ!)


2月に実施されたユーガブの世論調査では、イギリス国民の70%がトランプを「非常に好ましくない」あるいは「あまり好ましくない」人物だと考えていることが明らかになっている。

【参考記事】訪米したメイ首相にも二つの顔――中国CCTVで春節の挨拶

トランプの訪英を巡って抗議行動が起これば、イギリスのテリーザ・メイ首相は恥をかく。メイは、6月の前倒し総選挙を大敗を喫したばかり。メイは、対米関係を自身の外交政策の柱と位置付け、緊密な関係を強調している。2017年1月、トランプの大統領就任後に初めて公式訪問を行った外国首脳もメイだったのだが。

(翻訳:ガリレオ)

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