日本政府、自衛隊装備を初の無償供与 フィリピンにヘリ部品と航空機
8月10日、日本政府がフィリピン軍に対し、自衛隊のヘリコプター部品と、中古の航空機を今年度中に無償で引き渡す調整に入った。朝霞駐屯地で2016年10月撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
日本政府がフィリピン軍に対し、自衛隊のヘリコプター部品と、中古の航空機を今年度中に無償で引き渡す調整に入った。自衛隊の中古装備を外国軍に無償供与する初の案件になる見通し。中国がフィリピン軍に武器を供与するなどし、影響力を強めつつあることをけん制したい考え。
日本とフィリピンの複数の関係者が明らかにした。
陸上自衛隊の多用途ヘリ「UH-1」の部品およそ4万点を、災害救助などで同機を使用しているフィリピン軍に供与する。陸自はH型とJ型の2種類のUH-1を運用。このうち1973年度に配備が始まったH型は2012年度にすべて退役しており、補修用部品が使われないまま残っている。日本はこれを活用する考えで、さらにヘリの保守支援なども提供できないか検討している。
中国が南シナ海への進出を強める中、日本は不要になった自衛隊の中古装備を使って東南アジア諸国との関係強化を図ろうとしている。昨年9月には海上自衛隊の練習用航空機「TC-90」5機をフィリピン海軍に譲渡することを決定した。しかし、国有財産を無償または実勢価格より安く譲ることが禁じられていたため、有償による貸与という形を取らざるをなかった。
日本は今年5月、自衛隊の装備については無償で供与できるよう法律を改正した。TC-90は2機をすでにフィリピンにリース済みで、残りの3機を無償で譲渡する方針。日本の政府関係者によると、UH-1の部品、TC-90とも今年度中に供与する方向で調整しており、法改正後初の事例になる見通しだ。
防衛装備庁はロイターの取材に対し、「具体的な話をできる段階ではない」と回答。フィリピン空軍の幹部は「現在協議中」としつつも、「強固で戦略的な両国関係の象徴だ」とした。