最新記事

中国経済

航空機リース市場をチャイナマネーが席巻、28%へ上昇 バブル懸念も

2017年10月30日(月)15時29分

10月30日、コストの低い中国資金が、世界の航空機リース市場を揺るがしている。公表された調査によると、リース会社の資金2610億ドルのうち、中国からの比率は28%と、9年前の5%から上昇している。写真は香港の航空機リース企業のモデル。2015年6月撮影(2017年 ロイター/Bobby Yip)

コストの低い中国資金が、世界の航空機リース市場を揺るがしている。30日公表された調査によると、リース会社の資金2610億ドルのうち、中国からの比率は28%と、9年前の5%から上昇している。

過去10年の間に、同業界には中国の銀行や他の投資家からの資金が700億ドル以上流入し、航空会社が保有機を増やす支援をしてきた。ただ、リース市場は新しい重要なアセットクラスとなりつつあり、従来の参加者によるリターンは急速に低下している。

英フライト・アセンド・コンサルタンシーのグローバルコンサルタンシー責任者、ロブ・モリス氏は「直近のサイクル(2003―08年)に、リース料は大幅上昇した。人々が同じ取引に集中したことが一因だ」と指摘した。

中国の航空機市場は世界で最も急速に拡大しており、今週香港で開催された2つの主要会議には1500人の投資家が出席した。

欧州のエアバス、米ボーイングによる製造が過去最大級になっているほか、一部の航空会社による超過注文で、ジェット旅客機の需要は「バブル」を生んでいるとの専門家からの警告は何年も前からあった。

ただモリス氏は、新規投資家が航空業界に多額の資金を投じる中、供給サイドにも危険な長期的兆候が増えていると指摘した。

フライト・アセンドは、中国の資金は5年以内に、航空機リース業界の3分の1以上を占めるようになると予想。このような投資家の多くは低リターンを受け入れているといい、他の参加者にとっては危険信号になっているとした。さらに「この資金が市場のルールをリセットするなら、新しいルールに適応しなければならない。さもなければ負けるだけだ」と述べた。

だが、経験豊かな市場関係者からは異論もある。市場が下向きになった場合、新規資金はすぐに引き揚げられるとみられ、経験の少ない関係者が不必要なジェット機を再配置するのは難しくなるという。

現時点で市場は上向いているとの兆候が出ているものの、一部の長距離旅客機市場では「乱気流」も発生した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ロシア・ガスプロム、今年初のアジア向けLNGカーゴ

ワールド

豪CPI、第1四半期は予想以上に上昇 年内利下げの

ワールド

麻生自民副総裁、トランプ氏とNYで会談 中国の課題

ビジネス

米石油・ガス業界のM&A、第1四半期は過去最高の5
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 8

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中