最新記事

貿易

トランプ政権、加ボンバルディ製旅客機に制裁関税 貿易紛争激化か

2017年12月21日(木)11時12分

12月21日、米商務省は20日、カナダのボンバルディア製小型ジェット機「Cシリーズ」に300%近い制裁関税を課す最終決定を下した。不正な政府補助金が支給されているとする米ボーイングの訴えを支持した格好で、同問題を巡る貿易紛争が激化する可能性がある。写真はケベック州ミラベルで昨年4月撮影(2017年 ロイター/Pascal Rossignol)

米商務省は20日、カナダのボンバルディア製小型ジェット機「Cシリーズ」に300%近い制裁関税を課す最終決定を下した。不正な政府補助金が支給されているとする米ボーイングの訴えを支持した格好で、同問題を巡る貿易紛争が激化する可能性がある。

ボーイングはボンバルディアがカナダ政府から違法な補助金の支給を受け、米国でCシリーズを不当に低い価格で販売していると訴えていた。ボーイングは文書で、訴えが認められたと強調した。

ボーイングによると、ボンバルディアが米デルタ航空から受注したCシリーズ75機の価格は1機当たり2000万ドルと、推定コストの3300万ドルやカナダでの販売価格を下回った。相殺関税と反ダンピング関税から成る制裁関税が適用された場合、米国で販売されるCシリーズの価格は3倍以上に急騰することになる。

米国際貿易委員会(ITC)が来年初頭に予定される最終決定でボーイングの訴えを支持すれば、関税が発効する。

ボンバルディアは商務省の決定は「現実離れ」していると批判。欧州航空機大手エアバスと共同でCシリーズを米アラバマ州で組み立てる計画があるため、国内製品の扱いになると説明した。

また、発売時の価格や大型プロジェクトの資金調達などについて航空業界の長年の慣行を踏まえていないとした。

カナダのフリーランド外相は声明で「保護主義からカナダの企業や労働者を守る断固たる決意」を表明。今回の決定に抗議するための措置や選択肢を検討するとした。

カナダは世界貿易機関(WTO)に介入を求めるか、北米自由貿易協定(NAFTA)による仲裁制度を利用する可能性を検討しており、この問題を巡るカナダと米国の貿易紛争が激化する可能性がある。

[ワシントン 21日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

バリューアクト、セブン&アイ取締役候補者に賛成票投

ビジネス

欧州は中国から産業利益守るべき=仏財務相

ビジネス

追加利上げ、今年中に「ないともあるとも言えない」=

ビジネス

日経平均は4日ぶり反発、米株先物の底堅さが支援 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 5

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 6

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 7

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 8

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中