Newsweek

安全保障

インドの核ミサイル搭載原潜、ハッチの閉め忘れで沈没寸前に

2018年1月12日(金)13時55分
クリスティーナ・チャオ

    原潜を航行不能にしたのはハッチを閉め忘れる初歩的ミス(写真はインド海軍の別の潜水艦) REUTERS

    <インド唯一の核搭載可能原潜が、昨年2月の浸水事故から航行不能になっていたことが明らかに。インドの核抑止力低下が危ぶまれる>

    インド初の国産原子力潜水艦「INSアリハント」が、昨年2月に浸水事故を起こして沈没寸前になって以降、現在まで1年近く航行不能になっていることがわかった。

    インドの英字紙ザ・ヒンドゥーによると、総工費29億ドルをかけて建設されたアリハントは、昨年「人的ミス」によって推進室が浸水し、大きな損害を受けた。その後は、10カ月以上にわたって修復作業が続いている。

    インド海軍の関係者によると、事故原因は、誰かが誤ってハッチを閉め忘れたことだという。今も、浸水した艦内から海水をくみ出し、パイプを交換するなど、大規模な修復作業が続いている。艦内の水冷システムのパイプは、水圧で破損し海水で腐食しているという。

    これで中国に対抗できるのか

    インドと中国は、昨年6月から2カ月以上にわたって、国境係争地の「ドクラム(中国名・洞朗)」高地で双方の軍隊がにらみ合いを続けた。その際に、アリハントが海上に姿を見せていないことが注目されていた。

    アリハントは、水中排水量が6000トン。インド海軍が内密に進めた先進技術艦(ATV)プロジェクトによって、南部の港湾都市ビシャーカパトナムで建設された。2016年10月に就役し、現在インドで唯一核ミサイルを搭載できる潜水艦。アリハント・クラスの2隻目の原子力潜水艦「INSアリガント」も昨年11月に就役したが、現在はまだ試運転段階だ。

    アリハントは4つのミサイル発射管を備え、短距離弾道ミサイルや中距離弾道核ミサイルを搭載することができる。

    インドは、太平洋進出を狙う中国に対抗する「インド太平洋戦略」の要でもある。地元紙ザ・ヒンドゥーによると、インド軍は事故そのものの失態はもとより、アリハントが使用できないことで隣国パキスタンやその他の核保有国に対する抑止力が低下することを憂慮し、事故を隠していたものと見られる。

    インド国防省は、本誌の取材に対してコメントしていない。

    注目のキーワード

    注目のキーワード

    ニューストピックス

    本誌紹介

    特集:テロ時代の海外旅行

    本誌 最新号

    特集:テロ時代の海外旅行

    人気観光地でテロが起き、行き先選びに悩む時代── 「ゼロリスク」を求め過ぎる日本人のための海外旅行ガイド

    2018年5月 1日号  4/24発売

    人気ランキング

    • 1

      「いい加減にしないと暴動起こす」北朝鮮国民の不満が爆発寸前

    • 2

      中国市場依存のドイツが味わう「ゆでガエル」の恐怖

    • 3

      日本人は旅行が下手だ(テロ時代の海外旅行術)

    • 4

      キャサリン妃第3子懐妊で、英王位継承順位はこう変わ…

    • 5

      「何かがおかしい...」国のやり方を疑い始めた北朝鮮…

    • 6

      コンドームなんてもういらない!? 理想の男性用ピル…

    • 7

      ホルマリンを点滴された女性、死ぬ──遺体の防腐処理…

    • 8

      インド8歳少女のレイプ殺人で、少女への性的暴行を死…

    • 9

      こんなエコノミーは嫌だ! 合理的すぎる座席で、機…

    • 10

      「僕はゲイリー19歳、妻は72歳」 青年が恋に落ちた5…

    • 1

      「僕はゲイリー19歳、妻は72歳」 青年が恋に落ちた53歳上の女性とは

    • 2

      こんなエコノミーは嫌だ! 合理的すぎる座席で、機内はまるで満員電車?

    • 3

      「何かがおかしい...」国のやり方を疑い始めた北朝鮮の人々

    • 4

      「いい加減にしないと暴動起こす」北朝鮮国民の不満…

    • 5

      「ヒトラーが南米逃亡に使った」はずのナチス高性能…

    • 6

      おどろおどろしい溶岩の世界!?木星の北極の正体が…

    • 7

      「家賃は体で」、住宅難の英国で増える「スケベ大家」

    • 8

      地球外生命が存在しにくい理由が明らかに――やはり、…

    • 9

      金正恩は「裏切り」にあったか......脱北者をめぐる…

    • 10

      ジェット旅客機の死亡事故ゼロ:空の旅を安全にした…

    • 1

      日本の空港スタッフのショッキングな動画が拡散

    • 2

      ユーチューブ銃撃事件の犯人の奇妙な素顔 「ビーガン、ボディビルダー、動物の権利活動家」 

    • 3

      「家賃は体で」、住宅難の英国で増える「スケベ大家」

    • 4

      金正恩が習近平の前で大人しくなった...「必死のメモ…

    • 5

      「僕はゲイリー19歳、妻は72歳」 青年が恋に落ちた5…

    • 6

      ヒトの器官で最大の器官が新たに発見される

    • 7

      「パスタは食べても太らない」──カナダ研究

    • 8

      2度見するしかない ハマってしまった動物たちの異様…

    • 9

      「金正恩を倒せ!」落書き事件続発に北朝鮮が大慌て

    • 10

      こんなエコノミーは嫌だ! 合理的すぎる座席で、機…

    もっと見る

    Picture Power

    レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい