最新記事

アメリカ大統領

中国はトランプ大統領就任1周年を、どう見ているか?

2018年1月22日(月)08時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

トランプ米新大統領就任式 議事堂前で宣誓式(2017年1月20日) Jim Bourg-REUTERS

1月20日でトランプ氏の大統領就任から1年となる。CCTVは特別番組を組み1年を振り返った。特に同日、米政府機関が一部閉鎖に陥ったことと、米指導者への支持率が過去最低になり中国を下回ったことに焦点が。

CCTVが特集番組

中国共産党の報道機関の一つである中央テレビ局CCTVは、ドナルド・トランプ氏が大統領に就任してから1周年となることに関して特集番組を組んだ。以下はまだ米政府機関の一部が閉鎖になる前の時点における報道だが、中国はいったい、トランプ政権の何に焦点を当てているのか、そのポイントをご紹介したい。

1.TPP(Trans-Pacific Partnership、 環太平洋戦略的経済連携協定)から離脱した。

2.パリ協定(気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定)から離脱した。

3.ユネスコ(国連・教育科学文化機関)から脱退した。

4.NAFTA(North American Free Trade Agreement、北米自由貿易協定)に関する再交渉。

5.以上4項目(1~4)から、アメリカがいかに保護主義の方向に向かっているかが分かる。また、国際社会におけるアメリカのプレゼンスを著しく低下させた。

6.2017年8月、ロシアへの経済制裁追加を決定し、ロシアの反発を招いた。

7.エルサレムをイスラエルの首都と宣言した。

8.イラン核協定の離脱を図ろうとした。

9.以上の2項目(7&8)は、国際社会からの反発を受け、アメリカの信用を失墜させた。

10.内政においても「分断化」を助長させた。自身が所属する共和党においても、党員の80%しかトランプを支持していないし、民主党に至っては8%しか支持していない。

11.メキシコとの国境に壁を築こうとし、アメリカへの渡航に関しても特定の国や民族に対して渡航禁止令を出すなど制限を加えようとした。そのため国内において世論分断を助長している。

12.軍事、安全保障面においても世界を不安定化させており、2018年度の国防予算として7000億ドルを可決させた。

13.サイバー司令部を新設し、10個目の合同作戦司令部に格上げした。サイバー空間を5つ目の新たな戦場にした。

14.経済に関しては税制改革を実行したり、エネルギー開発に関する規制を撤廃するなどして株価上昇を招き急成長を遂げているように見えるが、しかしアメリカの経済学者は「トランプ政権の一連の経済政策はアメリカの中長期的経済成長の見通しを損なう恐れがある」と見ている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

原油先物は下落、米高金利の長期化が需要圧迫との懸念

ビジネス

豪消費者信頼感、5月は前月比0.3%低下 政府の物

ワールド

トランプ氏が起訴取り下げ要求、不倫口止め裁判

ビジネス

米デル、AI対応製品の品揃え強化へ 新型PCやサー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 4

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 7

    ベトナム「植民地解放」70年を鮮やかな民族衣装で祝…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    服着てる? ブルックス・ネイダーの「ほぼ丸見え」ネ…

  • 10

    「親ロシア派」フィツォ首相の銃撃犯は「親ロシア派…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 7

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 8

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 9

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 10

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中