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韓国事情

仮想通貨の効果的な対策を見出せない韓国政府

2018年2月5日(月)14時00分
佐々木和義

一方、NH農協銀行は仮想口座の発行と実名制移行サービスをビッソムやコインワンなど韓国内の大規模仮想通貨取引所と開発しており、同じく実名制システムの準備を進めてきた企業銀行も政府の方針に従う意向を示す。

都市銀行に責任と負担を負わせる取引実名制

銀行の対応が割れるなか、金融当局は6つの都市銀行の担当者を集めて状況を確認し、結果を踏まえて2018年1月30日より取引実名制を導入すると発表した。政府内部には依然として取引所の閉鎖を主張する意見もあるが、仮に閉鎖をすると闇取引や投資家が海外市場へ流れる懸念からも見送られた。

韓国の銀行は口座開設時等の本人確認が厳しく義務付けられている。取引実名制の導入は金融当局の管理下にある都市銀行に責任と負担を負わせて、政府による管理監督を先送りする制度ともいえる。

取引実名制の導入を正式発表する前の1月18日、韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は、仮想通貨は法的支払い手段を持たず、貨幣としての機能も果たせないとした上で、仮想通貨取引を禁止しても価格変動が金融安定を阻害する可能性は限定的と述べている。タイミング的にも中央銀行が金融商品または金融類似商品としての対応を行わない方針を示唆したものとみることができそうだ。

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