最新記事

エコ

世界初 プラスチック包装なしの棚がオランダのスーパーに登場

2018年3月5日(月)16時20分
モーゲンスタン陽子

ecoplaza

<オランダの小売チェーンのエコプラザが、世界で初めてのプラスチック・フリー商品棚をアムステルダムで導入した>

プラスチックで胃袋をいっぱいにしたクジラやウミガメなど、プラスチックが生態系に及ぼす悪影響に対する警告は多くなっている。そうした社会の関心も高まりつつあるが、日常生活からプラスチックを完全に排除することはまだまだ難しい。

無駄なプラスチック使用をとくに非難されているのが食品小売業界だが、そんななか、オランダのスーパーマーケットチェーンが、プラスチック包装を一切使わない「プラスチック・フリー」の商品だけを集めた陳列棚をまるまる1通路設けることを決定し、注目を集めている。

イギリス首相の呼びかけ

動きはまずイギリスで始まった。今年始め、イギリスのメイ首相が、全プラスチック包装の40%を使用する食品小売業界に着目し、プラスチック・フリーの商品を集めた陳列棚の設置を呼びかけた。

次に英紙ガーディアンが独自で行った調査によると、イギリス食品業界が生産するプラスチック廃棄物は年間800万トンにも及ぶ。EUの方針で各社はプラスチックの年間使用量を公表しなければならないが、セインズベリーやテスコなどの大手チェーンはすべて同紙への回答を拒否したという。

また、世論調査で91パーセントのイギリス人がプラスチック・フリー商品棚の導入に賛成しているにもかかわらず、イギリスでは小売チェーンのアイスランドが2023年までに自社ブランドでのプラスチック包装完全撤廃を宣言した以外には、商品棚導入に踏み切る大手はまだないようだ。

世界初はアムステルダムに

イギリスでのプラスチック・フリー商品棚の導入キャンペーンを行ってきたのはア・プラスチック・プラネットというイギリスの団体だが、同団体と協力体制にあったオランダの小売チェーンのエコプラザがこのほど、世界で初めてのプラスチック・フリー商品棚をアムステルダム店に導入することになった。

店内まるまる1通路の商品棚に、野菜・果物などの生鮮食品のみならず、肉、乳製品、菓子類など、プラスチックの包装を使わない700以上の商品が並ぶ。包装には生分解可能な物質のほか、従来の瓶やボール紙などが使われる。エコプラザは今年の末までに全国74の支店に同様の棚を導入する予定だ。「私たちの顧客は幾重もの分厚いプラスチックの過剰包装に死ぬほど嫌気がさしている」と、同チェーンのチーフエグゼクティブはガーディアンに語っている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ドル一時153.00円まで4円超下落、現在154円

ビジネス

FRB、金利据え置き インフレ巡る「進展の欠如」指

ビジネス

NY外為市場=ドル一時153円台に急落、介入観測が

ビジネス

〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の会見要旨
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 9

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中