最新記事

マクドナルドも熱い視線送る「昆虫農場」 世界のタンパク質危機を救うか

2018年4月24日(火)18時19分


昆虫を水産養殖の餌に

カーギルは2015年、家禽用飼料を昆虫ベースにする実験を行ったが、その後同社の昆虫への取り組みは、成長しつつある水産養殖事業の支援が中心となっている。代替タンパク源への需要が最も強いのが水産養殖事業だからだ。

ベータ・ハッチも同じ市場を追求している。小規模なベータ・ハッチが養殖するミールワームは、エメリーCEOがウイルバー・エリスからの投資に助けられて事業を拡大しているため、最終的に魚の餌になる可能性が高い。ウイルバー・エリスの顧客である水産養殖事業者が、魚粉に代わる持続可能な代替タンパク源を強く求めているからだ。

ウイルバー・エリス飼料事業部のアンドリュー・ロダー社長は、「魚粉の供給には限りがあるが、水産養殖は成長を続けている」と語る。「昆虫由来の飼料はソリューションの1つだと考えている」

水産養殖が急成長しているのは、消費需要が拡大する一方で、乱獲に対する懸念の高まりに伴い、多くの枯渇品種に関する捕獲制限が課せられているからだ。また一部の海域では、海水温の上昇が供給途絶をもたらしている。

これはつまり、人間が摂取する魚は今後ますます養殖に頼るようになっていくという意味であり、そのための飼料の需要・価格も上昇していく。

魚粉は天然のカタクチイワシ、ニシンその他の脂肪の多い魚類から製造され、通常の水産養殖用飼料の約25%を占めている。飼料としては、穀物や大豆由来のものも使われるのが普通だ。

だが、本来は肉食である品種を育てるのに、農作物ベースの飼料にばかり頼っているわけにはいかない。

エンテッラの最高技術責任者を務めるアンドリュー・ビッカーソン氏は、「すべて穀物由来の飼料だけで育てることもできるが、成長速度は遅く、非効率的であり、病気にもかかりやすい」と語る。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中