最新記事

インド

サルにさらわれた赤ん坊、井戸で見つかる

2018年4月3日(火)16時02分
プリサ・ポール

事件のあった村では、住民がサルに襲われる事件が続いていた Carlos Jasso-REUTERS

<生後わずか15日の赤ちゃんは、サルと人間の縄張り争いの犠牲になったのか>

インド東部のオリッサ州カタック県で3月31日、生後2週間の男児が消えた。サルにさらわれたとみられている。地元当局が捜索したが、事件発生から24時間後、赤ちゃんは自宅近くの井戸から遺体で発見された。

事件が起きたのは、午前6時前後。赤ちゃんは、タラバスタ村の自宅で母親と寝ていたところを、サルに連れ去られたという。

インドの日刊紙インディアン・エクスプレスによれば、赤ちゃんの叔母に当たるラージナンディニ・ナヤックは取材にこう話している。「サルは、蚊帳の中にいた赤ちゃんを連れ去った。母親は驚いて声を上げたが、サルは家の屋根を跳び越えて視界から消えた」

警察の要請を受けて、森林局員や消防隊員が現場に駆けつけ、大規模な捜索活動が開始された。住民と共に村の近くの森林にローラー作戦をかけて赤ちゃんを探した。

ダマパダ森林警備隊が率いる森林局の捜索隊は、3つに分かれて森を探した。だが、赤ちゃんが抱えていたある事情で、捜索は困難を極めた。

生まれつきの障害も災い

「さらわれた赤ちゃんには声を上げられない障害がある。泣き声を頼りに探すこともできない」と、森林局の職員は、ビジネス・スタンダード紙に説明した。

この赤ちゃんは生まれた時から泣き声を上げることができず、そのため小児科病院に入院していた。家族が待つ家に帰されたのは、事件が起きるわずか3日前だったという。

捜索にあたった森林局の職員たちは、家とその付近も探したが、この時は井戸でも何も見つからなかった。

結局、井戸に落ちた遺体を発見したのは、赤ちゃんの叔母だった。井戸で見つかった経緯については警察が捜査中だが、井戸はふだん、ふたをされていたという。

赤ちゃんの父親、ラーマクリシュナ・ナヤックは、「息子はサルが手を離したせいで落ちたのかもしれない」との見方を示している。

バンキ警察署の捜査官、ビスワランヤン・サフーは、「サルは、現場を去った直後に、誤って赤ちゃんを井戸に落とした可能性が高い」と、日刊紙ヒンドスタン・タイムズに語った。

赤ちゃんの遺体は検視のため、地元の病院に預けられている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意

ワールド

国際刑事裁の決定、イスラエルの行動に影響せず=ネタ

ワールド

ロシア中銀、金利16%に据え置き インフレ率は年内
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中