最新記事

ハッキング

アトランタの基幹システム、サイバー攻撃で「人質」に 紙と電話が頼みの綱

2018年4月5日(木)17時30分

裁判所や水道局など、市の施設における一部サービスの中断を招いた公表された機能停止以外に、どの程度の損害が生じているのかについて市当局者は説明を拒んでいる。

アトランタ都市圏の人口は600万人近い。米国勢調査局の最新データによれば、ジョージア州の州都であるアトランタ市本体だけで45万人以上が暮らしている。

市職員がロイターに語ったところでは、警察や財政関係のファイルが正体不明のハッカーによりアクセス不能になっており、ハッカーはファイルの暗号化を解除するデジタルキーと引き替えに5万1000ドル(約540万円)相当のビットコインを要求しているという。

パソコン情報のバックアップ・サーバーにどの程度の障害が起きているのか、また、どのようなデータが「身代金」の支払いなしには復旧できないかという点について、市当局者は明言を避けている。

アトランタ市庁舎の壮麗な高層ビルにあるオフィスでは、市監査役のアマンダ・ノーブル氏が「ハードディスクの中身がすべて消えた」とため息をつく。

彼女が異変に気づいたのは3月22日だった。コンピューターを起動すると、「SamSam」と呼ばれる強力なコンピューターウィルスによってファイルが暗号化されており、開けなくなっていた。ファイル名も同ウィルスによって意味不明のものに変えられていた。

「『何かが変だ』と私は告げた」

市職員がすぐに彼女のオフィスに駆けつけ、コンピューターの電源を切るように告げてから、館内に注意喚起を触れ回った。

ノーブル氏は現在、個人用のノートパソコンで仕事を進め、そこに保存されていた電子メールに書かれてあった進行中のプロジェクトの詳細については、スマートフォンを使って調べているという。

全てのコンピューターがウィルスに感染したわけではない。ノーブル氏によれば、監査室にある18台のうち、10台は無事だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英サービスPMI4月改定値、約1年ぶり高水準 成長

ワールド

ノルウェー中銀、金利据え置き 引き締め長期化の可能

ワールド

トルコCPI、4月は前年比+69.8% 22年以来

ビジネス

ドル/円、一時152.75円 週初から3%超の円高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中