最新記事

インバウンド

日本へマレーシア人観光客が殺到する舞台裏 リピーター増加で地方にもチャンス到来

2018年4月10日(火)18時31分
野本 響子(ジャーナリスト) ※東洋経済オンラインより転載

マレーシア人にはすでに日本に行ったことがあるという人が多い。JNTOの統計でも、半数以上が日本への渡航経験がある。

そのため、マレーシア特有の現象として、いわゆる「ゴールデン・ルート」が飽きられてきているというのがある。

日本観光のゴールデン・ルートとは、東京、箱根、富士山、名古屋、京都、大阪など日本の主要観光都市を周る観光周遊ルートのこと。

旅行会社を訪問すると、よく聞かれるのが「もう東京や大阪、温泉や買い物は飽きた。何か新しい観光地はないのか」という意見だ。

そしてゴールデン・ルートに代わって一昨年あたりから、北海道や飛騨高山、中央アルプスなど、新しい旅行先がマレーシア人に注目されつつある。なかでも北海道は直行便の運航開始もあり大人気。南国のマレーシア人にとって雪はあこがれで、流氷ツアーやスノースポーツなどに人気が集まる。また、合掌造りの写真で知られる白川郷も注目されている。

白川郷が人気になったのは、何といっても写真の力が大きい。人々はあの合掌造りの写真をみて、「ここに行ってみたい」と即決する。マッタ・フェアでお客様に対応していても、「あそこに行きたい」と白川郷の写真を指差すお客様は少なくないのだ。

実は、筆者もマレーシア人の友人に誘われて、2014年に生まれて初めて飛騨高山を観光したが、外国人の多さに驚いたことがある。

ちなみにこの友人は過去に10回以上来日しており、北海道や九州はそれぞれ1週間以上滞在している。東京マラソンにも河口湖マラソンにも参加し、もはやありきたりな観光地では満足しなくなってきている。求められているのは「新しい体験」、そして「SNSで友達に自慢できる写真」だ。

四国のお寺に宿泊してみたい人、北海道でスキーを楽しみたい人、誰にも知られていない新しい場所に行ってみたい人、地方のマラソン大会に参加したい人など、好みは千差万別になってきた。ある旅行代理店では「ツアー客は物作りや農業体験など、個人旅行では行きにくい体験型の観光を希望しています」と明かす。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動

ビジネス

必要なら利上げも、インフレは今年改善なく=ボウマン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中