最新記事

自動車

トランプ政権、鉄鋼の次は自動車・部品輸入で「貿易戦争」 最大25%の関税導入か?

2018年5月23日(水)18時30分

5月23日、米商務省は乗用車やトラックなどの車両や関連部品の輸入が国内の自動車産業を侵害し、安全保障を脅かしたかどうか通商拡大法232条に基づき調査を開始すると発表した。写真はトランプ米大統領。ワシントンで22日撮影(2108年 ロイター/Al Drago)

米商務省は23日、乗用車やトラックなどの車両や関連部品の輸入が国内の自動車産業を侵害し、安全保障を脅かしたかどうか通商拡大法232条に基づき調査を開始すると発表した。鉄鋼・アルミニウム輸入制限と同様の手段を自動車にも用いる。

ロス商務長官は声明で「外国からの輸入によって、数十年にわたり米国内の自動車産業が侵害されていることを示唆する証拠がある」と指摘。「商務省は、(車両や部品の)輸入が米国の経済を弱体化させているかどうか、安全保障を脅かす可能性があるかどうかについて、本格的で公正な調査を行う」ことを明らかにした。

商務省によると、国内の自動車生産の減少が経済を弱くし、コネクテッドカーや自動運転車、燃料電池、電気モーター・バッテリーなどを開発する能力が低下したか調査する。

トランプ大統領は別の声明で「自動車や自動車部品など中核的な産業は国力の重要な要素だ」と主張した。

調査開始の正式発表前、トランプ政権の関係者は、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の相手であるカナダとメキシコや、米国に多くの自動車を輸出する日本と欧州連合(EU)に圧力をかける狙いもあると説明した。

トランプ大統領はこれに先立ち、自動車、トラック、部品の輸入を巡り通商拡大法232条に基づく調査開始を検討するよう商務省に指示したと発表。これらの輸入が米国の安全保障を脅かすかどうかを判断するとしていた。

日本やドイツなど大手外資系自動車メーカーの団体「ヒア・フォー・アメリカ」はトランプ政権の決定を批判した。

トヨタ自動車<7203.T>、日産自動車<7201.T>、韓国の現代自動車<005380.KS>などで構成する世界自動車メーカー協会のトップ、ジョン・ボゼラ氏は「米国の自動車産業は成長し、繁栄している」と指摘した。

昨年は米国内で1200万台の乗用車やトラックが生産されたとした上で「われわれが知る限り誰も保護を求めていない。この措置は必然的に米国内で(消費者の)選択を狭め、乗用車やトラックの価格引き上げにつながる」と述べた。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルはこれに先立ち、トランプ政権が通商拡大法232条に基づき調査を開始し、関税を最大25%に引き上げる可能性があると報じていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB当局者、6月利下げを明確に支持 その後の見解

ビジネス

米住宅ローン金利7%超え、昨年6月以来最大の上昇=

ビジネス

米ブラックストーン、1─3月期は1%増益 利益が予

ビジネス

インフレに忍耐強く対応、年末まで利下げない可能性=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 4

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 5

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 6

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲…

  • 7

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 8

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 9

    インド政府による超法規的な「テロリスト」殺害がパ…

  • 10

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中