最新記事

日本社会

専業主婦を産み続ける「高度成長期の影」 日本はいつまで「専業主婦前提」OSを使うのか

2018年5月22日(火)20時40分
中野 円佳(ジャーナリスト)※東洋経済オンラインより転載

その保育園ママの側にいた私が昨年、夫の転勤に伴いシンガポールに住むことになった。こうして在宅でものを書きつつも、かつてないほど「専業主婦」的な生活をすることになった。

まずそこで痛感したことがある。専業主婦は、実は結構忙しいということだ。専業主婦は「三食昼寝つき」でヒマだと揶揄されることもあるが、とりわけ幼い子どもがいる場合など、はっきりいって、とんでもない。

専業主婦は、はっきり言って忙しい!

多くの共働き家庭が保育園に0〜1歳から子どもを預け始めるのに対し、専業主婦たちが幼稚園に子どもを預けるのは3歳。いったいそれまでの2〜3年間、どう子どもと過ごしているのか。

女性自身や子どもの性格などにもよると思うが、乳幼児や幼稚園児の子どもを持つ専業主婦たちの平均的な一日は、たぶんこんな感じだ。

家族よりも早く起きて身支度などをし、朝からお弁当・朝ごはんなどを作り、子どもを起こし、ぐずるのを着替えさせて食べさせて身支度させて、9時前に幼稚園に子を送る。幼稚園送りのあと、スーパーやパン屋に夕食や翌日の朝食の買い物に行く。

子どもが複数で、まだ幼稚園に入らない年齢の弟・妹がいる場合は、とくに忙しい。0〜2歳の子は、うまく昼寝ができないとぐずって収拾がつかなくなる。そうなる前に午前中に体力を使ってもらい、昼寝をすんなりしてもらおうと、午前中は全力で一緒に遊んだり、ベビーカーでぐるぐる歩き回ったりする。

同じくらいの年齢の弟妹がいるママ友がいれば、行動を共にすることが多い。子ども同士で思い切り遊べるし、大人との会話がママ同士の息抜きにもなる。それから下の子にお昼を食べさせ、ようやく下の子が昼寝をすると、朝の片付け、掃除などが待っている。

そうこうしているうちに、あっという間に上の子の幼稚園のお迎えの時間。

帰ってきたらもう大騒ぎだ。

「ママ、あそぼう」「おかーさん、こっちきて」「だっこ」「ママー、みて」「まま」「おかあさん!」「おなかすいた」「うんち」

基本的に幼稚園から帰ってきてから夕飯、お風呂、寝かしつけまでママの自由時間はない。共働きに比べて時間に余裕があるとはいえ、子どもの相手をする時間はとてつもなく長い。

子どもに年の近い兄弟がいると一緒に遊んでくれる面はあるものの、喧嘩をさばき、ママの取り合いに対応する労力も増える。夏休みなどの長期休暇はこれが1日中、続くことになる。ワーキングペアレンツの皆さんも、週末やゴールデンウィークのほうがぐったり疲れたという経験はあるだろう。専業主婦はこれが毎日!

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国、豚内臓肉などの輸入で仏と合意 鳥インフル巡る

ワールド

ロシア、対等な条件なら西側と対話 プーチン氏就任式

ビジネス

ディズニー1─3月決算、動画配信が改善 テレビ事業

ワールド

ロシアで米国人2人が拘束、1人は窃盗容疑の米軍兵士
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 6

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 10

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中