最新記事

海洋進出

米軍艦2隻、南シナ海で「航行の自由」作戦実施 中国は軍艦と航空機を派遣

2018年5月28日(月)09時00分

5月27日、米海軍は、中国が領有権を主張する南シナ海の西沙(パラセル)諸島周辺で、軍艦2隻を航行させ「航行の自由」作戦を実施した。写真はパラセル諸島の永興(ウッディー)島の衛星写真。3月撮影、提供写真(2018年 ロイター/Planet Labs Inc)

米海軍は27日、中国が領有権を主張する南シナ海の西沙(パラセル)諸島周辺で、軍艦2隻を航行させ「航行の自由」作戦を実施した。米当局者2人がロイターに明らかにした。

当局者2人によると、ミサイル駆逐艦「ヒギンズ」とミサイル巡洋艦「アンティータム」がパラセル諸島の12カイリ内を航行した。

当局者の1人は、軍艦はパラセル諸島のツリー、リンカーン、中建(トリトン)、永興(ウッディー)の各島の近くを航行したと述べた。

同作戦は数カ月前から予定されており、同様の作戦は定期的に行われている。しかし米中間で貿易を巡る対立が広がり、また米朝首脳会談に関連し米中間の緊張が高まる中、作戦は微妙な時期に行われたことになる。数日前には米国防総省は中国による南シナ海の軍事拠点化を理由に、米海軍が主催する合同軍事演習への招待を撤回していた。

米軍当局は27日の作戦について直接コメントはしなかったが、米太平洋艦隊は発表文で「過去に実施してきたように『航行の自由』作戦は定期的に行っており、今後も継続する」と説明した。

中国国防省は米軍の作戦実施に反発。米軍艦が許可なく侵入したとし、同海域を離れるよう警告するため軍艦と航空機を派遣したと発表した。「中国の法律と国際法に違反し、中国の主権を侵害し、両国の軍の戦略的な信頼関係を損ねた」と批判した。

また中国外務省は米国に対しこうした行為を控えるよう要請した。「中国は国家の主権と安全を守るため、必要なあらゆる措置を引き続き取っていく」とした。

[ワシントン 27日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアとの戦争、2カ月以内に重大局面 ウクライナ司

ビジネス

中国CPI、3月は0.3%上昇 3カ月連続プラスで

ワールド

イスラエル、米兵器使用で国際法違反の疑い 米政権が

ワールド

北朝鮮の金総書記、ロケット砲試射視察 今年から配備
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア軍の上陸艇を撃破...夜間攻撃の一部始終

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 6

    「未来の女王」ベルギー・エリザベート王女がハーバー…

  • 7

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 8

    「私は妊娠した」ヤリたいだけの男もたくさんいる「…

  • 9

    礼拝中の牧師を真正面から「銃撃」した男を逮捕...そ…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 8

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 9

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中