最新記事

自撮り

キラウエア火山、危なすぎる自撮りが問題に

2018年6月26日(火)17時30分
松丸さとみ

州政府は5月29日以来、キラウエア火山噴火に関連して出頭命令を出した人物の氏名や、こうした人たちを危険区域で保護した際の状況をたびたび発表している。

5月29日のケースでは、ニューヨークからきたカップルが、火山噴火の影響で閉鎖しているラバツリー州立公園に立ち入った。ラバツリー州立公園はキラウエア火山の東側に位置し、溶岩が近くまで来ておりガスの危険性もあるため、噴火以来、閉鎖されている。2人は、立入禁止区域に入り込む方法を地元住民から聞いたという。

州政府は、有罪となった場合の刑罰を罰金5000ドル(約55万円)、場合によってはさらに最長12カ月の禁固刑となるよう厳罰化したと発表。溶岩のそばに行こうとする人の数が減ることを期待したが、効果は薄いようだ。

「100万件の『いいね』よりも命の方が大切」

ABCのレポーター、ウィット・ジョンソン氏はABCニュースの番組で、自分たちがキラウエア火山のリポートをした際は州兵に護衛してもらったこと、ガスマスクを着用する必要があったことなどを説明し、いかに危険かを強調した。しかしジョンソン氏は、自分たちが撮影している間にも、溶岩の近くに行こうとする人がバリケードをこっそりと越えて行く姿を目撃したと話している。

自撮り写真を撮ろうとして命を落とした人たちは世界中であとを絶たず、各地の政府は手を焼いている。世界の観光名所などで自撮りをしようとして命を落とした人の数の半分以上が集中したインド(2014年3月〜2016年9月)では、政府が「自撮り禁止区域」を特定。看板を立てるなどの施策に数年がかりで取り組んでいる。ロシア政府も2015年、「ソーシャルメディアでの100万件の『いいね』よりも、あなたの命や身の安全の方が大切」とのモットーを掲げ、「安全な自撮りキャンペーン」を展開した。

6月25日のUS Military News TV-Youtube

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

日仏、円滑化協定締結に向けた協議開始で合意 パリで

ワールド

NATO、加盟国へのロシアのハイブリッド攻撃を「深

ビジネス

米製造業新規受注、3月は前月比1.6%増 予想と一

ワールド

暴力的な抗議は容認されず、バイデン氏 米大学の反戦
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中