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福田元首相「南京大虐殺」記念館訪問での言葉に、抗日記念館元職員・方軍氏が憤り

2018年7月2日(月)15時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

3.抗日を利用して寄金を集めたり、記念館の訪問客に「型通りの抗日ストーリー」を語ったりしますが、それらはポーズだけで、実際は「抗日」を口実にして金儲けをしているだけのことです。政府は抗日をスローガンにして政権維持をしようとしているだけのこと。

4.このたび日本の福田元首相が南京大虐殺記念館を訪問し、中国政府はそれを高く評価しています。日本人は利用されているだけなのに、福田は「日本人は真実を正視すべきだ」と記者団に言った。福田は「中国共産党の真実」を知っているのだろうか?その「真実」を正視しろと言う勇気はあるだろうか?

あなたの『毛沢東 日本軍と共謀した男』に書いてあるように、日中戦争時代、中国共産党は日本軍と内通して、日本軍と戦っている国民党軍の軍事情報を日本側に高値で売りつけた。そうしておきながら「日本軍と勇敢に戦っているのは中国共産党軍だ」という偽情報を人民にばらまき、人民を洗脳した。

今はその抗日戦争記念館の館長らは、口では「靖国神社参拝反対!」と言いながら、その日本人とつるんで懐を肥やしている。その腐敗を指摘した私を解雇して、「腐敗」の文字を検閲の対象にしているのです。

5.福田はすでに一私人かもしれませんが、しかし元日本国首相だ。その立場を利用して「本当の真実が見えないようにしている」のです。日本は、中国共産党の日中戦争時代の真実を覆い隠すのを手助けしているだけでなく、いま共産党政府の欺瞞と闘っている私たちを切り捨て、中国共産党政府の欺瞞を助けているのです。それが、これら日本の元首相らの言動であり、日本政府の態度だということに、日本は気が付いているのでしょうか?

6.気が付いていても見てみぬふりをしているのなら、これら元首相らの言動は「自己保身」以外の何物でもない。本当の正義感などどこにもなく、「日本は真実を正視すべきだ」などと言う資格はないでしょう。それは抗日戦争記念館の館長らが「靖国神社参拝反対!」などと発言する資格がないのと同じです。

おおむね以上だ。

昨日7月1日は中国共産党建党97周年記念日だった。

中央テレビ局CCTVは「中国共産党生誕97周年、おめでとう!」という言葉に満ち溢れていた。

方軍氏は、「中国共産党政権には、発言の自由は皆無だ!党を褒める言葉だけは強制的にでも言わせる。私は中国で何も発言できないのです。どうか私に力を貸して下さい!」と悲痛な叫びをメールで呼び掛けている。微力ではあるが、このコラムが、その一助になれることを祈ってやまない。

endo-progile.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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