最新記事

災害

インドネシアのバリ、ロンボクでM7の地震 死者82人、津波避難のパニックも

2018年8月6日(月)12時20分
大塚智彦(PanAsiaNews)

インドネシア・バリ島のショッピングセンターで地震の影響で崩れたがれきを調べる警官ら。(2018年 ロイター/Johannes P. Christo)

<インドネシアで巨大地震が発生。一部ではパニックが起きたが原因は過去の津波の記憶だった──>

インドネシアの世界的観光地であるバリ島や東隣のロンボク島で8月5日午後7時46分(日本時間同日午後8時46分)ごろ、マグニチュード6.9の地震が発生した。国家災害対策庁などによる発表では、6日朝までに倒壊した家屋の下敷きになるなどして82人が死亡、数百人が負傷している。

震源は西ヌサトゥンガラ州ロンボク島にあるインドネシア第2の高峰であるリンジャニ山(3726m)の北、州都マタラムの北東約48キロで震源の深さは15キロと浅かった。

地震はロンボク島全域とロンボク海峡を経て西に位置するバリ州バリ島デンパサールなどで震度5〜6、クタ地区で震度3〜4、さらにジャワ島東部のバニュワンギ、マランなどでも震度2〜3が観測されるなど広範囲で揺れを感じたという。

インドネシアの民放テレビ各局は地震発生直後から「ニュース速報」として地震発生を伝えた。気象庁が地震に伴う津波を予想して「津波警報」を発表したこともあり、ロンボク島、バリ島では一部で避難する市民のパニックが起きたという。

地震発生から約2時間後の5日午後9時25分に津波警報は解除されたが、記録された津波は最大で13.5㎝で、津波による被害は報告されていない。

バリ島デンパサールにある日本総領事館によると死傷者の中に日本人が含まれているとの報告はこれまでのところない、という。

世界的な観光地を襲う自然災害

バリ島は世界的に有名な観光地で、ングラライ国際空港には世界中の航空会社が乗り入れている。一方、東隣のロンボク島はバリ島ほど観光開発が進んでおらず、自然を求めてフェリーや国内線で訪れる観光客が近年増加しており、ロンボク島北西にある離島、ギリ・アイル島、ギリ・メウ島、ギリ・トラワンガン島のギリ3島は隠れたリゾートとして人気を呼んでいる。

しかし、ロンボク島では活火山のリンジャニ山付近で7月29日にマグニチュード6.4の地震が発生。地滑りや落石が発生して17人が死亡、登山客約500人が下山できずに取り残される事態も起きていた。

また7月2日にはバリ島のアグン山(3031m)で溶岩噴出を伴う噴火が発生するなど、バリ島、ロンボク島での火山活動がこのところ活発化しており、主要産業である観光業への影響が懸念されていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中