最新記事

外交

サウジ、人権問題めぐりカナダと対立 大使召還や航空機乗り入れ停止へ

2018年8月7日(火)11時42分

8月6日、サウジアラビアは、カナダとの新たな貿易や投資取引を停止する意向を明らかにした。カナダ外務省がサウジに対し人権活動家の解放を求めたことを受けた措置。写真は会見するアル・ジュベイル・サウジアラビア外相。7月に北京で撮影(2018年 ロイター/Thomas Peter)

サウジアラビアは、カナダとの新たな貿易や投資取引を停止する意向を明らかにした。カナダ外務省がサウジに対し人権活動家の解放を求めたことを受けた措置。サウジ外務省が5日、国営サウジ通信(SPA)を通じて声明を発表した。

サウジ外務省は声明で「カナダとの新たな貿易および投資取引を全て凍結するとともに、一段の措置を講じる権利を保持する」とした。

また、カナダ大使に24時間以内に国外退去するよう求めたほか、カナダに駐在するサウジ大使を召還したことも明らかにした。

カナダ政府は3日、サウジ当局が女性の権利を主張する著名活動家であるサマル・バダウィ氏を含む人権活動家を逮捕したことに懸念を表明し、解放を訴えていた。これについて、サウジ政府は「あからさまな内政干渉で、国際的な規範と全ての国際協定に違反している」と非難した。

サマル・バダウィ氏の弟ライフ・バダウィ氏はサウジ政府に批判的なブロガーで、同国で投獄されている。ライフ・バダウィ氏の妻は最近、カナダ国籍を取得した。

カナダのフリーランド外相は6日、サウジが新たな2国間貿易の凍結などを表明したことを受けて、「カナダは国内外の人権保護のためにいつでも立ち上がる。女性の権利も人権だ」と述べ、一歩も譲らない姿勢を示した。

サウジの衛星テレビ局アルアラビーヤによると、同国はカナダとの交換留学制度も停止し、サウジ認定の奨学生を他の諸国に移す方針。フリーランド外相は記者団に、カナダ人がサウジ留学の機会を奪われるのは「残念なこと」だと述べた。

サウジ国営航空のサウディアはカナダ・トロント発着便の運航を停止すると発表した。

ペルシャ湾岸6カ国で構成する湾岸協力会議(GCC)とアラブ連盟、パレスチナはサウジの方針に支持を表明した。ただ、サウジなどが国交を断絶しているカタールは、外務省の公式ツイッターアカウントで、GCCの声明はカタールの見解を反映していないとした。

[カイロ/オタワ 6日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、4月速報値は51.4に急上昇 

ワールド

独、スパイ容疑で極右政党欧州議員スタッフ逮捕 中国

ビジネス

仏サービスPMI、4月速報1年ぶりに50上回る 製

ビジネス

ECBは6月利下げ、それ以降は極めて慎重に臨むべき
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 9

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中